【運送業実務ブログ】運送業許可の営業所・車庫を契約する前に確認すべき5項目
一般貨物自動車運送事業の新規許可では、営業所や車庫を「確保した」だけで許可要件を満たすわけではありません。契約後に用途地域や農地、前面道路の問題が判明し、候補地を探し直すケースがあります。
物件の賃料が安い、トラックが置けそう、会社から近いという理由だけで契約を先行させず、申請に使える施設かどうかを確認してから契約することが重要です。
1.運送事業に使用できる契約内容か
関東運輸局の細部取扱いでは、借入れの場合、営業所や車庫の使用権原は、概ね2年以上の賃貸借契約書などで確認されます。契約期間が2年未満でも、満了時に自動更新される契約であれば使用権原の裏付けとして扱われる場合があります。
ただし、契約書の使用目的が「住居」「資材置場」などに限定され、運送事業の営業所や事業用車庫として使用できない内容では問題になります。転貸物件の場合は、所有者までさかのぼって使用承諾関係を整理できるかも確認が必要です。
2.都市計画法・農地法・建築基準法に抵触しないか
営業所や車庫は、都市計画法、農地法、建築基準法などの関係法令に抵触しないことが必要です。市街化調整区域、農地、用途地域上の制限がある建物では、運送業に使用できないことがあります。
「以前から事務所として使われている」「周囲にもトラックが止まっている」という事情だけで判断してはいけません。所在地を特定したうえで、自治体の都市計画・建築・農業関係の担当部署へ確認してください。
3.車庫の面積と区画は十分か
車庫には、計画する事業用自動車をすべて収容できる広さが必要です。関東運輸局の審査基準では、車両と車庫境界、車両相互の間隔を確保し、他用途の部分と明確に区画することが求められます。
図面上の面積だけで判断せず、車両の長さ・幅、駐車位置、旋回や出入りに必要なスペースを現地で確認しましょう。私有車、資材、コンテナなどと共用する場合は、事業用車両の区画が明確になるよう計画する必要があります。
4.前面道路を事業用車両が通行できるか
車庫の出入口が狭い、電柱やガードレールがある、前面道路の幅員が不足していると、車両が物理的に出入りできても許可審査上の問題になることがあります。前面道路との関係では、車両制限令に抵触しないことが必要です。
道路幅員証明書の取扱いは道路管理者や地域により異なります。国道、県道、市町村道、私道の別を確認し、使用予定車両の幅や道路条件を示して、管轄運輸支局と道路管理者へ事前に確認してください。
5.営業所と車庫の距離が地域基準に適合するか
車庫は営業所への併設が原則ですが、併設できない場合は、営業所と車庫の距離が地域ごとの基準に適合しなければなりません。この距離基準は全国一律ではありません。
インターネット上の「10km以内」という情報だけを信じるのは危険です。関東運輸局内でも所在地により取扱いが分かれ、他の運輸局では別の距離基準が設けられています。候補地を決める前に、営業所予定地を管轄する運輸支局の最新基準を確認してください。
契約前にそろえて確認したい資料
- 営業所・車庫の正確な所在地と公図上の位置
- 登記事項証明書や賃貸借契約書案
- 用途地域・市街化区域等を確認できる都市計画図
- 車庫の平面図・求積図・車両配置図
- 使用予定車両の長さ、幅、高さ、最大積載量が分かる資料
- 前面道路の道路種別、幅員、出入口の写真
賃貸借契約へ進む場合は、「一般貨物自動車運送事業の許可を取得できないときは解除できる」旨の条件を設けられるか、貸主や仲介業者と相談することもリスクを抑える方法の一つです。ただし、契約条項の有効性や具体的な文言は個別事情により異なります。
まとめ
営業所・車庫選びでは、使用権原、関係法令、面積と区画、前面道路、営業所との距離を契約前に確認することが重要です。施設要件に問題があると、申請の補正だけでは解決できず、物件の選定からやり直すことになりかねません。
一般貨物自動車運送事業の新規許可申請では、地域の審査基準と物件の個別条件を照合する必要があります。候補地を契約する前の段階から、管轄運輸支局、自治体、専門家へ相談することをおすすめします。
運送業の新規許可、営業所・車庫の事前調査、許可後の変更手続については、運送業専門のIcan行政書士事務所/運送業許可・更新サポートセンターへご相談ください。
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代表・矢内 TEL:070-1389-0777
本日の専門家紹介
埼玉県・渡邊義人先生
渡邊義人先生は、埼玉県朝霞市の行政書士渡邊義人事務所の代表です。運送業出身の行政書士として、一般貨物自動車運送事業の新規許可、営業所・車庫の変更、事業計画変更、各種届出などを総合的に支援しています。
許可取得だけをゴールとせず、許可後の安定した事業運営まで見据えて支援する姿勢を大切にしています。申請要件の確認、運輸支局との事前相談、書類作成、スケジュール管理まで、運送業の現場を知る専門家として相談できます。
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