【運送業実務ブログ】巡回指導で確認される法定12項目の指導監督―記録を残すだけでは足りません
一般貨物自動車運送事業者は、事業用トラックの運転者に対し、安全運行に必要な指導と監督を毎年行わなければなりません。
巡回指導では、「研修を実施したか」だけでなく、国土交通省の指針に沿った内容を計画的に実施し、誰が、誰に、いつ、どこで、何を教えたかを記録しているか確認されます。市販教材を配っただけ、運転者の署名だけをまとめても、実施状況を十分に説明できないことがあります。
一般的な指導監督の法定12項目
- トラックを運転する場合の心構え
- トラックの運行の安全を確保するために遵守すべき基本的事項
- トラックの構造上の特性
- 貨物の正しい積載方法
- 過積載の危険性
- 危険物を運搬する場合に留意すべき事項
- 適切な運行経路と、その経路の道路・交通状況
- 危険の予測・回避と緊急時の対応方法
- 運転者の運転適性に応じた安全運転
- 交通事故に関わる生理的・心理的要因と対処方法
- 健康管理の重要性
- 安全性向上装置を備えるトラックの適切な運転方法
一つの研修資料に12項目の題名だけを並べればよいわけではありません。運転者が内容を理解し、日々の運転に反映できるよう、年間計画を立てて継続的に実施することが求められます。
指導監督記録に残すべき内容
国土交通省の指針では、指導監督の日時、場所、内容、指導を行った者、指導を受けた者を記録し、その記録を営業所で3年間保存するとされています。
実務では、次の資料を一組にしておくと、実施状況を説明しやすくなります。
- 年間の指導監督計画
- 実施日時・場所・講師を記載した実施記録
- 使用したテキスト、動画、配布資料
- 受講者名簿または本人の受講確認
- 理解度確認、テスト、意見・質問の記録
- 欠席者への補講記録
様式の名称よりも、法定項目を実際に誰へ実施し、その事実を後から確認できるかが重要です。
よくある指摘1―12項目が全部終わっていない
毎月1項目ずつ実施する方法は分かりやすい一方、途中入社した運転者や欠席者について未受講項目が残りやすくなります。年度末に確認するのではなく、運転者別の受講管理表を作り、毎月受講状況を更新しましょう。
よくある指摘2―資料はあるが実施記録がない
教材ファイルやDVDを保管しているだけでは、運転者が実際に受講した証拠になりません。集合研修、個別指導、オンライン研修など、実施方法に応じて、本人確認と受講完了を説明できる資料を残してください。
よくある指摘3―全運転者が対象になっていない
正社員だけでなく、事業用自動車の運転者として選任している対象者を漏れなく管理します。他営業所との兼務、短時間勤務、途中入社、休職・復職などがある場合は、所属営業所と受講状況を明確にしてください。
一般指導と特別な指導を混同しない
全運転者に対する一般的な指導監督とは別に、初任運転者、高齢運転者、事故惹起運転者などには、対象区分に応じた特別な指導や適性診断が必要です。
法定12項目を実施したから特別な指導も完了した、または初任診断を受けたから一般指導は不要、という関係ではありません。運転者台帳、適性診断結果、特別指導記録、一般指導記録を相互に照合できる状態にしておきましょう。
巡回指導前の確認手順
- 現在選任している運転者の一覧を確定する
- 運転者別に12項目の受講状況を確認する
- 欠席・途中入社による未受講項目を洗い出す
- 補講を実施し、日時・内容・講師・受講者を記録する
- 年間計画、教材、実施記録を年度ごとに整理する
- 特定運転者の特別指導・適性診断記録と照合する
まとめ
巡回指導における指導監督対策は、研修資料を用意するだけでは不十分です。法定12項目を全運転者へ計画的に実施し、実施日時、場所、内容、指導者、受講者を記録して3年間保存することが基本です。運転者別の受講管理と欠席者への補講まで仕組みにすると、記録漏れを防ぎやすくなります。
巡回指導を控えていて、法定12項目が全運転者に実施できているか分からない、研修記録や教材に漏れがないか事前に確認したい、指摘後の改善方法を相談したい場合は、Ican行政書士事務所/運送業許可・更新サポートセンターの巡回指導対応サービスをご活用ください。帳票と実際の運用を専門家が確認し、営業所の状況に応じた準備を支援します。
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本日の専門家紹介
近藤剛先生は、神奈川県小田原市の「ほたる社会保険労務士事務所」代表です。公式プロフィールでは、労務相談、労務管理、就業規則の作成を専門業務として掲げています。運送事業では、許認可手続とともに、運転者の労働時間や就業規則などの労務管理も重要です。許可取得後の安定した事業運営まで見据える際に心強い専門家です。
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