【運送業実務ブログ】巡回指導で確認される運行指示書|作成が必要な運行・変更時の記録・1年保存
長距離運行をしている運送会社では、「2泊3日なら運行指示書を作る」と覚えている方が少なくありません。しかし、運行指示書が必要かどうかは、単純な走行距離や宿泊回数だけで決まるものではありません。
貨物自動車運送事業輸送安全規則では、乗務前と乗務後の点呼のいずれも対面で行うことができない業務を含む運行について、運行指示書を作成し、適切な指示を行うことが求められています。巡回指導では、作成の有無だけでなく、記載内容、携行、変更時の処理、保存状況まで確認できるようにしておきましょう。
運行指示書が必要になる基本場面
運行指示書は、乗務前・乗務後の両方を対面点呼できない業務を含む運行ごとに作成します。典型例は、営業所を出発した運転者が複数日にわたって運行し、出発後に営業所へ戻らず次の運行へ移るケースです。
「県外だから必要」「500キロを超えたから必要」といった基準ではありません。実際の運行計画と点呼方法を確認し、対象となる運行を抽出する必要があります。
記載する7つの事項
- 運行の開始・終了地点と日時
- 乗務員等の氏名
- 運行経路と、主な経過地の発車・到着日時
- 運行上注意を要する箇所の位置
- 休憩地点と休憩時間
- 運転または業務を交替する地点
- その他、運行の安全確保に必要な事項
休憩や交替がない場合でも、空欄のまま放置せず、「なし」など会社の運用が分かる形で処理すると確認しやすくなります。道路工事、降雪、積載物の特性など、運行ごとの注意事項も具体的に記載しましょう。
原本は運転者が携行し、写しを営業所に置く
対象となる運行では、運行管理者が運転者へ指示し、運転者に運行指示書を携行させます。同時に、その写しを営業所へ備え置きます。
運行終了後は、運転者が携行した運行指示書と営業所の写しを照合し、営業所で整理して保存します。国土交通省・運輸局の帳票案内では、貨物事業者の運行指示書の保存期間は1年間とされています。
運行途中で予定が変わった場合
行先、経路、到着時刻などが変わったときは、口頭で「予定変更」と伝えるだけでは足りません。営業所に置いた写しへ変更内容を記載し、電話などで運転者へ指示したうえで、運転者が携行している運行指示書にも同じ変更内容を記載させます。
当初は運行指示書の対象でなかった運行が、帰り荷の受注などにより途中から対象となった場合は、その後の運行について新たに運行指示書を作成し、電話などで必要な指示を行います。運転者側では、指示内容を業務の記録にも残す運用が重要です。
巡回指導前のチェックポイント
- 対面点呼ができない運行を配車表から抽出できるか
- 対象運行ごとに運行指示書を作成しているか
- 7つの法定事項に空欄や曖昧な記載がないか
- 運転者が原本を携行し、営業所に写しを置いているか
- 運行変更を原本・写しの双方へ記録しているか
- 点呼記録、運転日報、デジタコ、運行指示書の時刻・経路が整合しているか
- 運行終了後、1年間保存できるファイル体系になっているか
様式だけでなく運用を確認する
法定事項がすべて記載されていれば、書類の名称が「配車指示書」「作業指示書」でも運行指示書を兼ねられる場合があります。ただし、様式があるだけでは不十分です。作成、指示、携行、変更、回収、保存までの流れを運行管理規程や社内手順と一致させましょう。
まとめ
運行指示書は、長距離という呼び方ではなく、乗務前・乗務後の両方を対面点呼できない業務を含むかどうかを基準に確認します。運行途中で予定が変わった場合は、営業所の写しと運転者の原本の双方を更新し、指示の事実を残すことが重要です。巡回指導前には、点呼記録や運転日報との整合まで確認しましょう。
運行指示書の対象判断や、点呼記録・運転日報との整合確認に不安がある場合は、専門家による事前確認をご活用ください。巡回指導への備えに役立つ帳票セット・対応サービスのご案内はこちら:https://vmymw.hp.peraichi.com/
本日の専門家紹介|伊藤康浩先生(愛知県)
伊藤康浩先生は、名古屋市の伊藤経営労務事務所を運営する社会保険労務士です。公式プロフィールでは、運送業の労務に特化し、拘束時間、休息期間、荷待ち・付帯作業、改善基準告示、賃金体系などを、実際の運行状況と結び付けて支援していることが紹介されています。許認可手続だけでなく、許可後に安全で持続可能な労務体制を整えるうえでも心強い専門家です。
全国の運送業許可・更新サポートセンターメンバー
各氏名から、公式ホームページで確認できる本人の紹介ページをご覧いただけます。