【運送業実務ブログ】リース車でも運送業許可を申請できる?車両の「使用権原」を確認
一般貨物自動車運送事業の新規許可では、原則として営業所ごとに5両以上の事業用自動車を確保する必要があります。このとき、すべての車両を申請会社が購入し、所有者になっていなければならないのでしょうか。
結論からいえば、申請会社が所有者でない車両でも、申請会社に適切な使用権原があれば、計画車両に含められる場合があります。リース車や購入予定車でも申請は可能ですが、契約内容や証明書類に不備があると、補正や車両の差替えが必要になることがあります。
重要なのは「所有」より「使用できる権利」
国土交通省の一般貨物自動車運送事業に関する取扱いでは、計画する事業用自動車について、申請者が使用権原を有していることが求められます。
関東運輸局の新規許可申請に関する案内でも、車両の所有者が申請者と異なっていても、申請者がその車両の使用権原を有していればよい旨が示されています。
したがって、次のような方法が考えられます。
- 申請会社がすでに所有している車両を使用する
- 販売店から購入する予定の車両を使用する
- リース会社から借りる車両を使用する
- 他の法人や個人から借りる車両を使用する
ただし、単に「使わせてもらう予定」という口約束だけでは、申請会社の使用権原を十分に説明できません。所有・購入・リース・借入れの形態に応じた書面を準備する必要があります。
車両の確保方法ごとに必要書類を整理する
1.すでに自社で所有している車両
一般的には、自動車検査証記録事項などにより、車両の所有者・使用者、車台番号、用途、車体の形状などを確認します。電子車検証の場合は、券面だけでは必要事項を確認できないことがあるため、自動車検査証記録事項も用意しておくと安心です。
2.購入予定の車両
まだ登録前または名義変更前であれば、売買契約書、売渡承諾書、注文書などにより、許可後に申請会社が使用できることを示します。
書面には、売主・買主、対象車両、契約日、引渡条件などが明確に記載されていることが重要です。車台番号が確定している場合は、他の車両と区別できるよう記載します。
3.リース車両
リース契約書または許可を前提とした契約書などにより、申請会社が継続して車両を使用できることを示します。メンテナンスリースを含め、所有者がリース会社であっても、それだけで申請できないわけではありません。
ただし、契約期間、更新条件、契約当事者、対象車両、事業用自動車として使用できるかを確認してください。地方運輸局の審査基準や提出先の取扱いでは、使用権原を確認する契約期間や必要書類について具体的な案内が設けられている場合があります。
4.他社や役員個人から借りる車両
会社の代表者や役員が個人で所有する車両であっても、法人とは別の権利主体です。「社長の車だから会社が自由に使える」とは扱わず、法人と所有者との間で賃貸借契約や使用貸借契約を整えます。
第三者の法人から借りる場合も同様です。使用期間、使用目的、費用負担、返還条件などを明確にし、運送事業用として使用することについて所有者の了解を得ておきましょう。
リース契約前に確認したい5つのポイント
- 契約名義が申請者と一致しているか
申請法人ではなく代表者個人の名義で契約していると、法人の使用権原を追加資料で説明しなければならないことがあります。 - 事業用自動車として使用できるか
契約上、自家用に限定されていないか、緑ナンバーでの使用が認められるかを確認します。 - 契約期間が審査基準に合っているか
必要とされる使用期間や自動更新の扱いは、管轄地方運輸局の審査基準・細部取扱いを確認してください。 - 対象車両を特定できるか
車名だけでなく、登録番号や車台番号などにより、どの車両を借りるのか分かる状態にします。 - 登録手続に必要な協力を得られるか
許可後の事業用登録、名義・使用者の設定、必要書類の提供について、リース会社や販売店と事前に打ち合わせます。
車両なら何でも5両に数えられるわけではない
使用権原があっても、計画する事業用自動車の大きさや構造が、運送する貨物に適切でなければなりません。また、一般貨物自動車運送事業で使用する車両と、貨物軽自動車運送事業で使用する軽自動車は制度が異なります。
関東運輸局の案内では、軽自動車や125ccを超える二輪車は貨物軽自動車運送事業の車両となり、一般貨物自動車運送事業の車両としては使用できない旨が示されています。
普通乗用車を計画車両に含めようとする場合も、車検証上の用途や車体の形状、貨物を運送する構造になっているかを確認する必要があります。申請後に構造変更を予定する場合は、登録部門と輸送部門の双方へ事前に相談しておくと安全です。
よくある失敗
役員個人名義の車両を、そのまま法人所有として申請する
個人と法人は別人格です。法人が使用できる根拠を書面で示せるようにします。
リースの見積書だけで車両を確保したつもりになる
見積書は費用の提示にすぎず、使用権原を証明する契約書として不十分な場合があります。
契約書に車両が特定されていない
対象車両が分からなければ、申請する5両を確保していることを確認できません。
許可後の緑ナンバー登録について販売店と調整していない
許可が下りても、連絡書の発行や事業用登録が進まなければ運輸開始できません。
他地域の審査基準をそのまま当てはめる
使用権原の確認方法、契約期間、必要書類には地方運輸局・運輸支局ごとの細部取扱いがあります。
申請前の実務チェック
- 営業所ごとに必要な車両数を確保できているか
- 各車両の所有者・使用者・契約名義を確認したか
- 購入予定車は売買契約書や売渡承諾書で特定できるか
- リース車は事業用利用、契約期間、更新条件を確認したか
- 役員個人や他社の車両は法人との契約書を作成したか
- 車両の用途・構造が予定する貨物の運送に適しているか
- 許可後の事業用登録まで販売店・リース会社と調整したか
- 管轄運輸支局の最新の審査基準と必要書類を確認したか
まとめ
一般貨物自動車運送事業の新規許可では、申請会社がすべての車両を所有している必要はありません。リース車や購入予定車、他者から借りる車両でも、申請会社が適切な使用権原を有し、それを契約書などで証明できれば計画車両に含められる可能性があります。
重要なのは、所有者が誰かだけでなく、誰が、どの車両を、どの期間、どの目的で使用できるのかを明確にすることです。契約を締結する前に、管轄運輸支局の審査基準と許可後の登録方法まで確認し、書類の手戻りを防ぎましょう。
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