【運送業実務ブログ】運行指示書は「2泊3日だから」で判断しない―中間点呼とセットで確認する実務
長距離運行がある運送会社では、「2泊3日以上なら運行指示書が必要」と覚えている方が多いでしょう。日常管理の目安としては分かりやすい表現ですが、法令上の判断を日数だけで済ませると、必要な運行で作成を漏らしたり、点呼方法の変更を見落としたりするおそれがあります。
運行指示書が必要になるかどうかは、運行の日数そのものではなく、業務前と業務後の点呼をどのように実施できる運行なのかを確認することが基本です。中間点呼、運行指示書、運転者への携行、途中変更、保存までを一つの管理として考えましょう。
運行指示書が必要になる基本的な考え方
貨物自動車運送事業輸送安全規則では、業務前と業務後の点呼のいずれも、対面または国土交通大臣が定める対面と同等の方法で行うことができない業務を含む運行について、運行指示書を作成し、運転者に適切な指示を行い、携行させることを求めています。
このような運行では、業務の途中において少なくとも1回、中間点呼も必要になります。
従来、営業所を出発して複数日後に戻る2泊3日以上の運行では、中日に業務前・業務後の対面点呼を行えないことが多いため、「2泊3日以上」という説明が実務上の目安として使われてきました。
しかし、現在は遠隔点呼や自動点呼などの制度が整備され、国土交通大臣が定める方法を適切に導入している場合があります。そのため、宿泊日数だけで一律に判断せず、自社が実際に行う点呼方法と運行形態を確認する必要があります。
日帰り・1泊2日・2泊3日の典型例
日帰り運行
出庫前の業務前点呼と帰庫後の業務後点呼を、いずれも営業所で対面等により行える通常の日帰り運行であれば、中間点呼を理由とする運行指示書は通常必要ありません。
1泊2日の運行
初日の出庫前に業務前点呼を行い、2日目の帰庫後に業務後点呼を行える運行であれば、業務前・業務後の両方が行えない業務には通常当たりません。ただし、途中で新たな運行が加わる場合や、当初計画と異なる勤務形態になる場合は、実態に即して判断します。
2泊3日以上の運行
中日に営業所外で業務を開始し、営業所外で業務を終了する場合は、業務前・業務後の双方について通常の対面点呼ができない状態が生じやすくなります。このため、中間点呼と運行指示書が必要となる典型例です。
ただし、適法な遠隔点呼等を実施できる体制がある場合には取扱いが変わる可能性があります。使用する機器や実施方法が国の要件を満たしているかを確認し、単にスマートフォンのビデオ通話を行っただけで遠隔点呼として扱わないよう注意してください。
運行指示書に記載する主な事項
運行指示書には、運行の安全確保に必要な事項を具体的に記載します。主な項目は次のとおりです。
- 運行の開始・終了の地点と日時
- 乗務員の氏名
- 運行の経路と主な経過地
- 運行中に注意を要する箇所
- 乗務員の休憩地点と休憩時間
- 乗務員の睡眠地点と睡眠時間
- 運行中の業務内容
- その他、運行の安全確保に必要な事項
単に出発地と目的地を書くだけでは、運行管理者が安全な運行計画を作成し、具体的な指示を行ったことを十分に示せません。休憩・睡眠の場所と時間、危険箇所、道路状況、連絡方法などを、実際の運行に合わせて記載します。
会社と運転者の双方が同じ内容を持つ
運行指示書は、会社側で作成して保管するだけの帳票ではありません。運転者に適切な指示を行い、運行中に携行させる必要があります。
実務では、原本と写しを作成し、運転者が携行するものと営業所に備えるものの内容を一致させます。出庫時に手渡したか、運転者が内容を理解したかも確認してください。
配車表、輸送依頼書、行程表などがあっても、法令上必要な事項を満たし、運行指示書として管理されていなければ、当然に代用できるとは限りません。
運行途中で計画が変わった場合
荷主都合による目的地の変更、運行経路の変更、休憩・睡眠地点の変更などが生じたときは、電話その他の方法で運転者へ適切な指示を行い、変更内容を記録します。
事業者側は営業所にある運行指示書へ変更内容を記載し、運転者側も携行する運行指示書へ変更内容を記載します。後から会社側だけを書き換えるのではなく、運行中に双方が同じ変更内容を共有することが重要です。
また、当初は運行指示書が不要な運行であっても、途中で運行が延長され、業務前・業務後の点呼の双方を対面等で行えない業務が発生することがあります。その場合は、変更後の運行について運行指示書を作成し、電話等で必要な指示を行う対応が必要です。
保存は運行終了後3年間
貨物の運行指示書とその写しは、運行終了の日から3年間保存します。作成した帳票を月別・運転者別・車両別など、自社で検索しやすい方法で整理してください。
巡回指導や監査では、運行指示書だけを単独で見るのではなく、点呼記録、業務記録、デジタコ記録、配車表などと照合されることがあります。日付、運転者、車両、運行経路、休憩・睡眠時間に矛盾がないかを定期的に確認しましょう。
よくある不備
- 2泊3日以上の運行があるのに運行指示書を作成していない
- 運行指示書はあるが、中間点呼の記録がない
- 出発地と目的地だけで、休憩・睡眠の指示がない
- 運転者に携行させず、営業所だけで保管している
- 運行途中の変更を会社側・運転者側の双方に記録していない
- 輸送依頼書を運行指示書の代わりにしているが、必要事項が不足している
- 運行指示書と点呼記録、業務記録の内容が一致していない
- 遠隔点呼の要件を満たしていないのに、ビデオ通話だけで済ませている
社内で整えたい確認手順
- 配車時に宿泊運行を抽出する
日数だけでなく、各日の業務前・業務後点呼をどこで、どの方法で行うか確認します。 - 中間点呼の要否と運行指示書の要否を同時に判定する
担当者ごとに判断がぶれないチェック表を作ります。 - 出庫前に内容を確認する
運行管理者が行程、休憩、睡眠、危険箇所を確認し、運転者へ指示します。 - 運転者へ携行させる
営業所保管分と運転者携行分が同じ内容であることを確認します。 - 変更時の連絡方法を決める
誰に連絡し、誰が双方の運行指示書へ記録するかを明確にします。 - 帰庫後に関連帳票を照合する
点呼記録、業務記録、運行指示書、デジタコ記録の整合性を確認します。
まとめ
運行指示書は、「2泊3日以上だから必要」「1泊2日だから不要」と日数だけで判断する帳票ではありません。業務前と業務後の点呼を対面または国が定める対面と同等の方法で行えるかを、実際の運行ごとに確認することが基本です。
必要な運行では、中間点呼と運行指示書をセットで管理し、運転者への携行、途中変更の双方記録、運行終了後3年間の保存まで確実に行いましょう。遠隔点呼等を導入している会社は、その方法が最新の国土交通省告示・要領に適合しているかも定期的に確認してください。
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