【巡回指導ブログ】巡回指導で確認される事故記録|8項目と3年間の保存を実務で整える
事業用トラックで事故が発生したとき、警察や保険会社への連絡だけで対応を終えていないでしょうか。貨物自動車運送事業者には、法令に基づく事故記録を作成し、営業所で保存する義務があります。
巡回指導では、事故の有無だけでなく、必要事項が記録され、原因分析と再発防止対策まで整理されているかを確認できる状態にしておくことが重要です。
事故記録と事故報告書は別のもの
「事故記録」は、事業用自動車に係る事故が発生した場合に事業者が作成し、運行を管理する営業所で保存する社内の法定記録です。
一方、「自動車事故報告書」は、自動車事故報告規則に定める一定の事故が発生した場合に、運輸支局等へ提出する報告書です。すべての事故が同じ提出対象になるわけではありませんが、提出対象でない事故でも、事故記録の作成が必要になる場合があります。
「行政へ報告しなかったから、社内記録も不要」と判断しないようにしてください。
事故記録に必要な8項目
事故記録には、次の事項を記録します。
- 乗務員等の氏名
- 事業用自動車の登録番号、車両番号その他車両を識別できる表示
- 事故の発生日時
- 事故の発生場所
- 乗務員等を除く事故当事者の氏名
- 事故の概要と損害の程度
- 事故の原因
- 再発防止対策
保険会社へ提出した事故受付票や警察への届出だけでは、上記8項目がすべて確認できないことがあります。自社の事故記録様式を用意し、不足項目を補ってください。
保存場所と保存期間
事故記録は、その事業用自動車の運行を管理する営業所で3年間保存します。本社で一括保管していても、営業所からすぐ確認できず、事故車両との対応関係が分からない状態では、巡回指導時の説明に時間がかかります。
複数営業所がある会社では、事故車両の所属営業所、運行管理を行った営業所、書類の原本保管場所を明確にしてください。電子保存を行う場合も、必要時に検索・表示・印刷できるよう、車両番号、事故日、運転者名などで検索できる設計が実務的です。
「事故の原因」を曖昧にしない
「前方不注意」「確認不足」だけでは、再発防止につながる原因分析になりにくい場合があります。なぜ前方への注意が低下したのか、なぜ確認動作が省略されたのかを掘り下げます。
- 運行計画や拘束時間に無理がなかったか
- 睡眠不足や健康状態に問題がなかったか
- 運転者への指導内容が具体的だったか
- 車両の点検整備に問題がなかったか
- 事故が起きやすい経路・時間帯を把握していたか
- 同種事故の情報が社内で共有されていたか
個人の注意力だけに原因を求めず、運行管理、労務管理、車両管理、教育体制まで確認することが重要です。
再発防止対策は実行まで記録する
再発防止対策として「安全運転を徹底する」と書くだけでは、具体性が不足します。事故原因に対応した行動へ落とし込みましょう。
- 事故映像や現場図を使った個別指導を実施する
- 危険地点を運行経路図や点呼時の指示に反映する
- 運行計画や休憩時間を見直す
- 同種事故を題材に全運転者へ教育する
- 車両の追加点検や安全装置の作動確認を行う
- 実施日、担当者、対象者、使用教材を記録する
事故記録と、指導監督記録、点呼記録、乗務記録、整備記録を関連付けると、対策を実行したことを説明しやすくなります。
巡回指導前のチェックポイント
- 過去3年間の事故記録が営業所で確認できるか
- 事故記録に8項目がそろっているか
- 事故報告書の対象事故を正しく判定しているか
- 事故記録と運転者台帳の事故情報が整合しているか
- 再発防止教育の記録と使用教材が残っているか
- 点呼・乗務記録・デジタコ等と事故日時が整合しているか
- 対策後のフォロー確認が行われているか
まとめ
事故記録は、事故の事実を書き残すだけの書類ではありません。法定8項目を記録し、事故原因を分析し、具体的な再発防止策を実施して、その記録を運行管理営業所で3年間保存します。
行政への事故報告書と社内の事故記録を混同せず、関連帳票と整合する形で管理しておくことが、巡回指導対応と事故防止の両方につながります。
巡回指導対応のご相談
事故記録や再発防止記録が法令上必要な内容を満たしているか、関連帳票との整合まで事前に確認したい場合は、専門家による点検をご活用ください。
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Ican行政書士事務所/運送業許可・更新サポートセンター 代表・矢内 TEL:070-1389-0777
本日の専門家紹介|千葉幸広先生(千葉県)
千葉幸広先生は、千葉県八千代市のスイング行政書士事務所を運営し、一般貨物自動車運送事業の許可を専門業務として取り扱っています。運送業以外では、酒類販売業免許申請にも対応しています。千葉県で運送業の許認可や日常の法令対応を相談したい事業者にとって、地域で相談できる専門家です。