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運送業許可サポートセンター

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【3分でわかる】運送業許可の条件

運送業許可を取得しようとしている皆様へ(許可取得ガイド)

 

そもそも運送業許可って何?

どんな手続きが必要なの?

お金はいくらかかるの?――

この度は、運送業許可サポートセンターのホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。

このサイトをご覧いただいた方は、これから運送業の許可を取得して、運送業を始めようとされている方だと思います。

でもいざ許可を取得しようとすると、分からない事ばかり――。

そこで、そうした皆様が一番知りたい、「どうすれば運送業の許可を得ることができるのか」――。

要件(条件)を分かりやすくご説明したいと思います。

【一般貨物運送事業とは】

まず、そもそも今回許可を取得しなければならない「一般貨物自動車運送事業」とは、何でしょうか?

貨物自動車運送事業法でいう一般貨物自動車運送事業=運送業とは、「他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業」をいいます。

つまり、お客様からのご要望を得て、運賃をもらって自動車で荷物を運ぶことを、貨物運送事業といいます。

よく「緑ナンバー」とも言われますね。

貨物運送事業は許可制になっており、新たに一般貨物運送事業を始めるには、国土交通大臣または、地方運輸局長の許可を受けることが必要です。

また、許可を受けるためには、貨物自動車運送事業法及び地方運輸局長が定め公示した基準にすべて適合しなければなりません。

それを許可取得の要件といいます。

許可の要件とは、大きく「ヒト(人的要件)・施設(場所的要件)・カネ(資金的要件)」の観点から、申請者が運送業事業の事業者として法的に認められるかを審査する条件です。

そしてその3つの条件の中で、「営業所」「休憩・睡眠施設」「車庫」「車両」「資金」「欠格事項」「法令試験」「運行管理者」「整備管理者」の要件ごとに、チャックがなされます。

そうです。運送業の許可を取得するには、この「9つの要件」全てを満たす必要があります。

では、順番に見ていきましょう。

 

運送業許可の要件(1) 営業所

≪営業所の要件≫

営業所の要件は、法律的には以下のように定められています。

(1)使用権限を有すること。借入れの場合は概ね契約期間が1年以上の使用権限を有すること。
(2)都市計画法、農地法、建築基準法等に抵触しないこと。

それに加えて、

・車を止める十分な広さがある

・車庫との距離等も問題になります。

①使用権限があるか

営業所は、自己所有でも、賃貸でも構いません。しかし、それぞれ「使用権限を有しているか」を証明する書類が必要です。

具体的には、自己所有の場合は建物の謄本です。

※建物や土地が共有持ち分になっている場合は、所有者全員の使用承諾書が必要です。

賃貸の場合は、賃貸借の契約書が必要です。

※契約書の契約期間が1年に満たない場合は、契約書に「契約期間満了時に自動更新される旨の記載」が必要です。

また、賃貸借契約では、建物の使用目的も重要です。事務書としての使用が可能であればよいですが、住居として契約している場合には、貸主から「運送業の営業所」として使ってよいとの承諾書が必要になります。

また、契約者が社長個人の場合、そのままでは運送会社の営業所には使えませんので、契約書の名義の変更をしなければなりません。

②諸法令に適合しているか

営業所は、次の法令に抵触していないことが求められます。

<農地法>

登記簿を確認し、土地の地目が農地(田・畑)であれば、営業所としては使えないため、農地転用が必要になります。

土地の地目が農地の場合でも、農地転用済だったり、非農地証明が出ていることもありますので、十分に調査しましょう。農地に関しては、地元の地町村の農業委員会が管轄しており、ルールも微妙に違いますので、時間をかけてしっかりと調査しましょう。

<都市計画法>

都市計画法は、下記の地域にには、営業所を設置できません。

  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 第一種中高層住居専用地域
  • 一定の条件を満たす第二種中高層住居専用地域
  • 一定の条件を満たす第一種住居地域

重要なことですが、市街化調整区域も原則、営業所を置くことができません。

しかし、トレーラーハウスを設置することで、市街化調整区域内であっても営業所を設置することが可能になるケースがあります。

その場合、事前に営業所所在地の市区町村や、運輸支局に相談して調整して下さい。

<建築基準法>

建築基準法違反の建物を営業所として使用することは認められません。

もし、市街化調整区域にプレハブを建てるような場合、基礎工事をした上で建築確認申請をしなければ使えないケースがあるため、事前に役所の都市計画課等と調整する必要があります。

また、設置される建物が、建築基準法や消防法に適合した適法の建物でなければなりません。

よくプレハブを営業所にするケースがありますが、プレハブは基本的に建築確認が必要な場合が少なくありません。ぜひ、事前に市町村の建築課等に相談しましょう。

申請してから、違法建築法違反とされる事もありますので、要注意です。

<広さ>

営業所の広さは、特に定めはありません。

しかし、営業所として使うためのパソコン、コピー機、事務机、キャビネットなどが置かれているか、写真の提出が求められます。そのため、申請して許可を得た後で結構ですが、運輸開始までには、営業所内の整備、整理が必要になります。

<駐車場との距離>

営業所と車庫は、原則として併設されている必要があります。しかし、併設が難しい場合、一定の直線距離内であれば離れていても問題はありません。例えば、関東運輸局管内での取扱いは次のように定められています。

営業所の所在地 直線距離
東京都(23区)、神奈川県(川崎市・横浜市) 20㎞以内
東京都(23区以外)、神奈川県(川崎市・横浜市以外の地域)、埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県、茨城県、山梨県 10㎞以内

この距離は、走行距離ではなく、地図上の直線距離です。

※営業所と車庫の距離が離れている場合は、営業所での点呼前には事業用自動車は使用できません。自家用自動車で営業所で点呼を行い、車庫まで移動し、事業用自動車に乗務することになります。

 

運送業許可の要件(2)休憩・睡眠施設

≪休憩・睡眠施設の要件≫

〈広さ〉

休憩・睡眠施設の広さについて、明確な基準はありません。

長距離運転があり、ドライバーが自宅に帰宅すると8時間以上の休息時間が取れない場合は、睡眠施設が必要です。(その場合は、一人当たり2.5㎡以上の広さが必要です)それ以外は。休憩施設だけで結構です。

休憩・睡眠施設は、営業所もしくは車庫に併設する必要があります。

休憩・睡眠施設だけを単独で設置することはできません。営業所と併設する場合、別の部屋か、営業所との間に区切りやパーテーションがあった方が望ましいです。

<関連法に抵触しない>

使用権限があること、そして農地法、都市計画法、建築基準法等の関連法に抵触しないことは、営業所と同じです。

 

運送業許可の要件(3)車庫

車庫の要件は、一般貨物自動車運送事業法などで、次のように規定されています。

≪車庫の許可要件≫

(1)原則として営業所に併設するものであること。ただし、併設できない場合は、営業所から5km~20km以内にあること(各運輸局によって違います)。

(2)車両と車庫の境界及び車両相互間の間隔が50cm以上確保され、かつ、計画する事業用自動車のすべてを収容できるものであること

(3)他の用途に使用される部分と明確に区画されていること

(4)使用権限を有することの裏付けがあること。

(5)農地法、都市計画法等関係法令に抵触しないものであること。

(6)前面道路は、原則として幅員証明書により、車両制限令に適合するものであること

では、重要なものからそれぞれ見ていきましょう。

<区域>

車庫は、営業所と違って市街化調整区域でも設置することは可能です。

しかし、市街化調整区域内でも、屋根がある有蓋駐車場である場合は、都市計画法、建築基準法、消防法など、建築物として適法かどうかも事前の調査が必要です。

ただし、農地区域には車庫は設置できません。事前に農地転用等手続き必要になります。そのため手続きに、かなりの時間と労力がかかります。

※地目が「農地」かどうかの確認は、地元の市町村の農業委員会か、土地の謄本を法務局で取得し、確認して下さい。

<距離・広さ>

車庫は原則、営業所に併設しなければなりません。しかし、一定の距離内(各運輸局管内ごとに直線距離で5km~20km)であれば離れていても設置が可能です。(埼玉県は10km、東京23区と横浜市、川崎市は20km)

車庫の広さは、運送業で使用する車両が全て収容できるスペースが必要です。しかも、駐車した状態で車両の点検をするため、車両と車両、車両と車庫の間にそれぞれ50cm以上の間隔がなければなりません。

つまり、一台置きの駐車場の場合、車の車幅と長さにそれぞれプラスで1mの幅が必要になります。ですので、月極の駐車場の場合は、要注意です。(一つのスペースに複数台の車を置く場合は、それぞれ車の間が50cmあれば大丈夫です)

運輸局は、車種ごとに必要とされる収容面積を以下のように提示しています。

車種区分 1両あたりの必要収容能力(参考値)
普通貨物自動車 38㎡
小型貨物自動車 11㎡
けん引車(トラクタ・ヘッド) 27㎡
被けん引車(トレーラー・シャーシ) 36㎡

<使用権原>

使用する車庫には、一般貨物自動車運送事業の車庫としての使用できるという「使用権原」がなければなりません。

①自己所有の場合

自己所有の土地を車庫に使用する場合です。その場合、原則、建物謄本もしくは売買契約書等が必要です。

②賃貸の場合

貸主との「賃貸借契約書」もしくは「使用承諾書」の写しを提出します。

賃貸借契約で注意しなければならない事として、賃貸借期間が許可が出る日から2年以上必要だということです。2年以上に満たない場合は、契約書に自動更新の記載か、2年以上借りるとの「上申書」が必要です。

また、賃貸借契約書には、その土地の使用目的が「貨物自動車運送事業の車庫として使用する」旨の記載か、貸主の使用承諾書を作成して提出します。

※賃貸借契約書には、所有する車両に必要な面積が確保されているかどうかを確認するため、借りる面積も明記されいなければなりません。

<前面道路の幅員>

許可の要件として、車庫の前面道路の幅員も重要です。市役所などから前面道路の「幅員証明書」を発行してもらい、車両制限令に抵触しないことを証明する必要があります。

原則、幅員は6.5m以上が必要です。

幅員が6.5m未満の場合、普通貨物車2.5m幅の車両の駐車場として使用が難しい場合がありますので、しっかりと事前に調査しておきます。

また幅員は、市町村の道路課等が証明する「幅員証明」を取得して提出しなければなりません。

さらに出入口の前面道路が、公道ではなく私道であった場合、その所有者の使用承諾書が必要になります。

 

運送業許可の要件(4)車両

≪車両の要件≫

運送業の許可の要件として、車両については、以下のように法的に規定されています。

・営業所ごとに配置する事業用自動車の数は、種別ごとに5両以上とすること。

・計画する事業用自動車にけん引車、被けん引車を含む場合の最低車両台数の算定方法は、けん引車+被けん引車を1両と算定する。

・霊きゅう運送、一般廃棄物運送、一般的に需要が少ないと認められる島しょの地域における事業については、5両に拘束されない(1両でもよい)。

・事業用自動車の大きさ・構造等が輸送する貨物に適切なものであること。

・使用権限を有することの裏付けがあること

<車両の数>

運送業の許可を取得するためには、車検証の用途欄が「貨物」の事業用自動車最低5台が必要です。

貨物自動車がトラクタとトレーラの場合、トラクタ(牽引車)+トレーラ(被牽引車)をセットで1両となりますので、注意が必要です。

<車両の種類>

自動車検査証(車検証)の用途が「貨物」であれば、積載量がある1,4、8ナンバーのいずれかであれば、大型のトラックでなくでも、ワゴン車でも大丈夫です。

しかし、霊柩事業を除いて、ワゴン乗用車のように最大積載量の記載の無い車両は、運送事業には使えません。

なお、許可申請の時点では用途が「乗用」であっても、「構造変更が可能な車両」で「許可申請時に構造変更の費用などを証明する書類(契約書など)を添付できる」場合は、許可申請時の車両数に含めることが可能です。

<使用権原>

使用する車両は、許可申請者がその車両の使用権限を持っていることの証明が必要です。

自己所有でなくとも、リース車両(ファイナンス・リース、メンテナンス・リース)でも大丈夫です。

その使用権限は、以下の書類で証明します。

・自己所有――所有者または、使用者欄に使用者の欄に申請者が記載されていること。

・リース――契約書(契約期間は1年以上)

・新規購入――購入の契約書

<車両取得の時期>

使用権原は、許可申請時になくても、許可後に緑ナンバーを発行する時に証明できれば大丈夫です。つまり、申請時に車両が特定されていて、契約(売買、譲渡、リースなど)見積り段階での申請が可能です。

具体的には、①その車両に「許可後に購入する」という契約書等がある、②その車両に「許可後にリースする」という契約書等がある等、車両が特定されていて、許可後に確実に車両を取得できるということが証明があれば、先に許可申請ができます。

<排ガス規制>

地方自治体の「PM排出規制に関する条例」や、「自動車NOx・PM法」の規制に適合した車両でなければなりませんので、事前に車検証備考欄で必ず確認してください。

心配であればあらかじめ運輸支局や登録検査事務所の検査部門にて車検証を見せて確認してください。

<基準緩和車両>

基準緩和車両は、道路運送車両法の第四十条(自動車の構造)に基づく「緩和申請」が必要な場合があります。

備考欄に「基準緩和」等が記載されている車両については、事前に運輸支局や登録検査事務所の検査部門で、どのような緩和申請が必要かを確認しておく必要があります。

 

運送業許可の要件(5)資金

≪資金的要件≫

運送業を開業するには、いくらぐらいの資金が必要なのでしょうか。気になるところですので、しっかりと説明いたします。

運送業の許可を申請するためには、事前に一定の自己資金が必要です。

法的には、以下のように条件が示されています。

(1)資金調達について十分な裏付けがあること

(2)所要資金の見積りが適切であり、かつ、資金計画が合理的かつ確実なものであること。

(3)所要資金の金額以上の自己資金が、申請日以降許可日までの間、常時確保されていること。

 

では、具体的にいくらぐらい必要になるのしょうか。車の台数や地域にもよりますが、最近は約2000~2500万円前後の自己資金の準備が必要となります。

計算式は運輸局のものがあり、人件費×6カ月、燃料費×6カ月、車両費などを見積り、申請時にはその預金残高を提出することになります。

具体的には、下記のような様式にも基づいて計算し、許可申請書類の一つとして、事業計画として運輸局に提出します。

以下、具体的に見ていきましょう。

≪必要な資金の内訳≫

【人件費】

・役員報酬、運転者の給与、手当等の6か月分

【燃料油脂費】

・ガソリン、軽油代の月間使用量の6か月分

【車輌修繕費】

・外部修繕費、自家修繕費等の6か月分。

【車両費】

一括購入の場合は全額。割賦の場合は”頭金”+12か月分。リース料の場合は毎月支払額の12か月分

【営業所、車庫の家賃】

賃貸の場合、賃料の12か月分。

一括購入の場合は全額。

割賦の場合は”頭金”+12か月分。

【自動車税、重量税、環境性能割(取得税)、自賠責保険、任意保険】

1年分 ※対人無制限と対物200万円以上の保証は必須

【登録免許税】

12万円

【その他の経費】

その他の経費には、旅費、会費議、水道光熱費、通信費、運搬費、図書費、印刷費広告宣伝費などが含まれます。その他経費は2ヶ月分の計上となっています。

≪自己資金の証明≫

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送業の許可を取得するためには、上のように、事業計画をもとにして算出した、事業を開始するために必要な資金(所要資金)がしっかりと用意できなければいけません。

そして、ここが最も気をつけなければいけない点ですが、自己資金は、運送業の許可を申請した日から、許可が出る日までの期間中ずっと所要資金よりも多い状態で確保していなければなりません

期間中に下回ってしまうと、運送業許可の取得要件を満たすことができなくなってしまいますので、許可申請自体を取り下げることになってしまいます。

自己資金は、通常は預貯金で判断します。次の2つの時点の残高証明書で自己資金の残高を証明します。

  • 運送業許可申請日
  • 申請後の運輸局から指定された日

銀行口座は複数であっても構いませんが、全ての口座の残高証明書が必要になります。

※預貯金だけでは所要資金に足りない場合には、売掛金などの流動資産も含めることが可能です。この場合は、預貯金と同じタイミングでの、「見込み貸借対照表」などで流動資産の額を証明します。

いかがでしょう。

運送業の許可申請の中で、この駐車場と営業所の要件は、かなり細かく規定があります。

そのため、「良い物件」だからといって、慌ててて賃貸借契約を結ぶのではなく、事前に許可専門の行政書士と相談して、計画的に準備を進んてください。

 

運送業許可の要件(6)欠格事由と法令順守

≪欠格事項≫

直近の法改正でより厳しくなった事の一つが、欠格事由です。

運送業の許可申請では、申請者が以下の項目に該当すると、許可取得ができなくなります。

  1. 1年以上の懲役または禁錮以上の刑を受けてから5年経過していない
  2. 一般貨物自動車運送事業または特定貨物自動車運送事業の許可取消しから5年経過していない
  3. 許可申請者の密接関係者(親会社・子会社・グループ会社等)が一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可取消しから5年経過していない
  4. 一般貨物自動車運送事業または特定貨物自動車運送事業の許可取消しの処分逃れのため自主廃業した場合、その届出の日から5年を経過していない
  5. 許可申請者が営業に関して成年者と同一の行為能力を有しない未成年者又は成年被後見人である場合、その法定代理人が上記3.を除く欠格事由に該当する場合

 

≪法令遵守について≫

また、許可を申請するにあたっては、以下の条項を順守しなければなりません。

(1)申請者又はその法人の役員は、貨物自動車運送事業の遂行に必要な法令知識を有し、かつ、その法令を遵守すること

(2)健康保険法、厚生年金法、労働者災害補償保険法、雇用保険法に基づく社会保険等加入義務者が社会保険等に加入すること

(3)申請者又は申請者が法人である場合にあっては、その法人の業務を執行する常勤の役員が、貨物自動車運送事業法又は道路運送法の違反により、申請日前3か月間(悪質な違反の場合は6か月間)又は申請日以降に、自動車その他の輸送施設の使用停止以上の処分又は使用制限(禁止)の処分を受けた者(当該処分を受けた者が法人である場合における処分を受けた法人の処分を受ける原因となった事項が発生した当時、現にその法人の業務を執行する常勤の役員として在任した者を含む。) ではないこと

(4)新規許可事業者は、許可書交付時等に指導講習を実施するとともに、事業開始後6か月以内に実施される地方貨物自動車運送適正化事業実施機関の適正化事業指導員による巡回指導によっても改善が見込まれない場合等には、運輸支局による監査等を実施するものとする。

 

運送業許可の要件(7)法令試験

法令試験は、平成20年7月から新規許可申請の許可要件となりました。

≪法令試験の概要≫

<出題範囲>

出題範囲は、貨物自動車運送事業法を始め13の法令です。

  1. 貨物自動車運送事業法
  2. 貨物自動車運送事業法施行規則
  3. 貨物自動車運送事業輸送安全規則
  4. 貨物自動車運送事業報告規則
  5. 自動車事故報告規則
  6. 道路運送法
  7. 道路運送車両法
  8. 道路交通法
  9. 労働基準法
  10. 自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成元年2月9日 労働省告示第7号)
  11. 労働安全衛生法
  12. 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律
  13. 下請代金支払遅延等防止法

<受験対象者>

受験するのは、株式会社であれば常勤の役員(代表取締役、取締役など)、個人事業の場合は事業主本人です。

試験が行われるのは、許可申請後。試験に合格してから、その後の審査が開始されます。

<合格率>

合格率は、関東運輸局で約50~60%。九州運輸支局で25%前後と、管轄運輸支局で大きく違いますが、全国的には難化傾向にあるといわれています。

試験時間50分。30問の問題が出され、正解が8割以上、24問以上の正解で合格となります。

試験への合格が審査の前提となっており、2回以内に試験に合格できなければ、その申請は却下となり、再申請しなければならなくなります。

<試験の内容>

問題の方式は、○×問題と選択問題です。会場には資料の持ち込みは禁止ですが、会場では上記の13の法令が束になった「法令集」が配布されます。

その法令集を見ながら回答するのですが、事前にしっかりと準備をしなければ、合格は容易ではありません。

特にこの数年、全国的に試験が難しくなっており、合格率も低下傾向にあります。

過去問を中心に、繰り返し、事前の勉強に励まれることをお勧めします。

 

≪法令試験対策≫

運送業許可サポートセンター(Ican行政書士事務所)では、放れ試験対策として、①「必勝セット」(テキスト&過去問1年分&条文集)を販売し、さらに②合格率95%の「法令試験セミナー」を行っております。

ぜひ、ご活用ください。

<運送業許可サポートセンター(Ican行政書士事務所)の法令試験対策>

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運送業許可の要件(8)運行管理者

≪運行管理者の確保≫

運送業を開業するには、最低でも1人の専従の運行管理者が必要です。

必要な人員は、トラックが5台なら1人で大丈夫です。(29台までは1名。以後、30台ごとに1名増員の必要となります)

運行管理者は、運転者の乗務割の作成、休憩・睡眠施設の保守管理、運転者の指導監督、点呼による運転者の疲労・健康状態等の把握や安全運行の指示など、事業用自動車の運行安全を確保するための業務を行う責任者です。

運行管理者は、営業所に専従していなければならず、他の営業所との兼務はできません。

<運行管理者となる資格>

運行管理者になるには、運行管理者試験に合格して運管理者資格者証を取得しなければなりません。

試験を受験するためには、

・1年以上の事業用自動車の運行管理の実務経験

・自動車事故対策機構などが開催する運行管理者基礎講習を修了している

必要があります。

(また、事業用自動車の運行の管理に関し5年以上の実務経験があり、その間に基礎講習1回と一般講習4回の合計5回以上を講習を受講していれば、試験に合格せずとも運行管理者になることも可能です)

<運行管理者試験>

運行管理者試験は、年2回(8月と3月)、公益財団法人運行管理者試験センターが行っています。

試験を受けるには、次のいずれかの要件を満たさなければ受験できません。

  • 事業用自動車(緑ナンバー、事業種別は不問、貨物軽自動車運送事業を除く)の運行管理に関して1年以上の実務経験
  • 実務経験に代わる講習の修了 ※講習は国土交通大臣が認定した講習実施機関である、独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA) で受講(講習手数料8,900円)できます。

 

運行管理者補助者≫

深夜配送なども行い、24時間体制で営業している運送会社では、運行管理者が1人しかいない場合には24時間働かなくてはいけなくなってしまうため、運行管理者に補助者を選任することができます

運行管理補助者は、運行管理者の代わりに、点呼ん3分2を行う等、業務の履行補助業務をすることができます。

運行管理者補助者も運行管理者と同じように誰でもなれるというわけではなく、運行管理者の資格が無い場合には、以下の要件を満たす必要があります。

 

運送業許可の要件(9)整備管理者

≪整備管理者の選任≫

運送業許可を得るためには、整備管理者の選任が必要です。

運送業を開業するためには、営業所ごとに最低1人の整備管理者を選任しなければなりません。

運行管理者は、日常点検などの車両の点検の管理、車両整備の実施計画の策定、点検整備記録簿等の記録簿の管理、車庫の管理などを行います。

<整備管理者になるための資格>

運送業の整備管理者になるには、以下の要件を満たすことが必要です。

・2年以上の実務経験を積み、整備管理者選任前研修を修了する

・1~3級の自動車整備士に合格している(エンジン、ディーゼルなどの種別は問いません)

<実務経験証明書>

整備管理者に選任されるためには、2年以上の実務経験を、証明書を作成し、在籍していた会社に押印してもらう必要があります。

もし、実務経験が複数の会社で積んだ場合は、それぞれの会社から印鑑をもらいます。

<整備管理者選任前研修>

整備管理者に選任されるためには、さらに運輸支局が開催する整備管理者選任前研修を受講して修了する必要があります。

この研修は、年に数回開催されていおり、研修の時間は2時間程度です。

<1~3級の自動車整備士に合格>

上記以外に、整備管理者は、以下の1~3級の自動車整備士の資格があれば選任することができます。

  • 一級大型自動車整備士
  • 一級小型自動車整備士
  • 一級二輪自動車整備士
  • 二級ガソリン自動車整備士
  • 二級ジーゼル自動車整備士
  • 二級自動車シャシ整備士
  • 二級二輪自動車整備士
  • 三級自動車シャシ整備士
  • 三級自動車ガソリン・エンジン整備士
  • 三級自動車ジーゼル・エンジン整備士
  • 三級二輪自動車整備士

 

以上が9つの要件です。

いかがでしょうか?

営業所一つ、車庫一つ決めるにも、結構大変ですね。

そして次に、この9つの要件を満たしたら、それを書類にし、必要書類を添付しえ、運輸支局に提出します。

 

【許可申請から取得までの流れ】

一般貨物自動車運送事業許可を取得するには、上記の許可要件を踏まえて、次のような事前確認を行い、書類を作成し、申請します。

(1)事前の調査・確認

①営業所 ――都市計画法、建築基準法等に抵触していないかどうかの調査、使用権限の確認

②車庫――車庫の広さ、そして車庫前面道路が車両制限令に抵触しないかどうかの調査、使用権限の確認

③車両――車両の所有権、残債等の確認、使用権限の確認

➃自己資金――事業開始に必要な自己資金(預貯金.その他流動資産等)があるかどうかの確認

・自己資金額は、車両購入計画、車庫賃貸費等により変わりますが、通常1,500~2,000円超が必要です。

・自己資金は、許可申請と許可直前の2回、預貯金残高証明書を提出して証明します。

⑤運行管理体制――予定する運行管理者、整備管理者、苦情処理責任者、労働時間等の決定

(2)提出書類の作成・申請

必要な証明書等を収集し、許可申請書を作成し、運輸支局に提出申請します。

(3)法令試験

申請書提出後の奇数月(1月、3月、5月、7月、9月、11月)に、管轄運輸局で役員法令試験を受験し、合格します。

試験合格後、正式な書類の審査が開始されます。

※試験に2回不合格した場合には、申請取下げになり、再申請します。そのため許可までの期間が数カ月遅れることになります。

【コチラの記事もご参考下さい】→法令試験とは?

(4)審査

法令試験に合格して初めて、正式な書類審査が始まります。

審査の期間(標準処理期間 3~5ヶ月 )です。この間、追加の書類提出などの補正が行われます。

※6ヶ月以内に補正ができない場合、許可申請は取り下げになります。

(5)許可書の交付

許可書の交付後、登録免許税(12万円)を納付し、登録免許税領収書届出書(返送分)を管轄運輸支局に提出します。

支払は、運輸支局から「登録免許税納付通知書」が送付されますので、その指示に沿って銀行、郵便局、税務署等で行います。

 

これらの申請の流れをまとめると以下のようになります。

(参考:貨物自動車運送事業をおこなうには|国土交通省 地方運輸局

 

【一般貨物運送業許可に必要な書類】

運送事業の許可申請には、以下の書類と添付資料が必要となります。

1 一般貨物自動車運送事業経営許可申請書

2 運送事業計画書

3 運送事業用自動車の運行管理の体制を記載した書面

4 事業計画を遂行するに足りる有資格者の運転者を確保する計画

5 運送事業の開始に要する資金及び調達方法を記載した書面

6 運送事業の用に供する施設の概要及び付近の状況を記載した書面

イ.施設の案内図、見取図、平面(求積図)、写真

ロ.都市計画法等関係法令に抵触しないことの書面(宣誓書)

ハ.施設の使用権限を証する書面

(自己所有の場合)――不動産登記簿謄本

(賃貸の場合)――賃貸契約書、使用承諾書等

ニ.車庫前面道路の道路幅員証明書 (前面道路が国道の場合は不要)

ホ.事業用自動車の使用権限を証する書面

(車両購入の場合)――売買契約書又は売渡承諾書等

(リースの場合)――自動車リース契約書、見積書等

(自己所有の場合)――自動車検査証 (写)

7 残高証明書等

8 貨物利用運送を行う場合

イ.営業所の使用権限を証する書面

(自己所有の場合)――不動産登記簿謄本等

(賃貸の場合)――賃貸契約書、使用承諾書等

ロ.貨物の保管体制を必要とする場合は、保管施設の面積、構造及び付属設備を記載したもの

ハ.利用事業者との運送に関する契約書の写し

ニ.    貨物自動車利用運送の用に供する施設に関する事項を記載した書類

9 すでに既存の法人がある場合は、下記の書類

イ.定款又は寄付行為及び登記簿の謄本

ロ.直近の事業年度における貸借対照表

ハ.役員の名簿及び履歴書

10 法人を新しく設立する場合は、下記の書類

イ.定款(会社法第30条第1項及びその準用規定により認証を必要とする場合にあっては、認証のある定款)又は寄附行為の謄本

ロ.発起人、設立者の名簿、履歴書

ハ.設立しようとする法人が株式会社である場合にあっては、株式の引受け又は出資の状況及び見込みを記載した書類

11 個人の場合は、下記の書類

イ.資産目録

ロ.戸籍抄本

ハ.履歴書

12 一般貨物自動車運送事業法第5条(欠格事由)各号のいずれにも該当しない旨の書面

(欠格事由)

第五条  次の各号のいずれかに該当する者は、第三条の許可を受けることができない。
一  一年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった
日から二年を経過しない者
二  一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者( 当該許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の通知が到達した日(行政手続法 (平成五年法 律第八十八号)第十五条第一項 の通知が到達した日(同条第三項 により通知が到達したものとみなされた日を含む。)をいう。) 前六十日以内にその法人の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。第四号において同じ。)であった者で当該取消しの日から二年を経過しないものを含む。)
三  営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者又は成年被後見人であって、その法定代理人が前二号のいずれかに該当するもの
四  法人であって、その役員のうちに前三号のいずれかに該当する者のあるもの

13 法令順守の宣誓書

14代理申請の場合は委任状

 

【許可申請はプロの行政書士に】

以上、駆け足で、運送業許可の要件を見てきました。

かなりハードルが高いと感じられたかと思います。ただ、始めから、全ての要件を満たしている事業者は少ないかもしれません。

しかし、これらの要件を押さえ、現状の皆様準備状況と照らし合わせ、段階的にクリアしていけば、決して困難な許可申請ではありません。

運送業許可サポートセンター(Ican行政書士事務所)は、要件の確認から書類の作成、許可取得、そして開業まで、皆さまに寄り添い、全力でサポートします!

【参考記事】運送業許可サポートセンター(Ican行政書士事務所)が信頼される理由

 

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【許可申請サービス・料金】

サービス名 内容
一般貨物軽自動車運送

新規経営許可申請

・事前の打ち合わせ・許可要件(営業所・車庫・人員等の確認、調査)

・申請書類の収集

・申請書の作成

・申請書類の提出

手数料  280,000円(税別)
法定費用(税金) 120,000円 (登録免許税)