【運送業新規許可ブログ】運行管理者は申請時に未確保でもよい?一般貨物の新規許可で「いつまでに必要か」を整理
一般貨物自動車運送事業の新規許可を検討している会社から、「運行管理者がまだ決まっていないと申請できないのか」という相談を受けることがあります。
運行管理者は、安全な運行を支える中心的な存在です。ただし、新規許可申請を提出する時点と、実際に運送事業を開始する時点では、求められる準備の段階が異なります。
採用予定者で申請できる場合がある一方、運輸開始までに有資格者を確保できなければ事業を始められません。申請だけを先行させず、採用、資格者証の確認、選任届の提出まで逆算して準備することが重要です。
申請時点では「確保予定」で進められる場合がある
関東運輸局の新規許可申請に関する案内では、申請日時点で運行管理者が未確保であっても、確保の予定があれば許可となり得る一方、運輸開始までに運行管理者を確保する必要があると示されています。
近畿運輸局の案内でも、運行管理者・整備管理者を確保予定として申請することは可能ですが、許可後の運輸開始前確認までに確保し、運輸支局等の保安部門へ選任届を提出する取扱いが示されています。
つまり、「申請時に未採用だから直ちに申請不能」とは限りません。しかし、氏名だけを予定者として記載すればよいわけでもありません。実際に採用できる見込み、必要な資格、勤務場所、就任時期などを具体化しておく必要があります。
運行管理者は営業所ごとに必要
一般貨物自動車運送事業では、原則として営業所ごとに、配置する事業用自動車の台数に応じた人数の運行管理者を選任します。
29両までの営業所では原則1名以上、30両以上になると必要人数が増えます。被けん引自動車は必要人数の算定方法に特則があるため、トレーラーを使用する計画では単純な車両台数だけで判断しないよう注意が必要です。
また、運行管理者は、運行の安全確保に関する業務を事業者と一体となって行う立場です。原則として、別の営業所の運行管理者や運行管理補助者を兼務することはできません。
複数営業所を同時に開設する場合は、「資格者が1名いるから全営業所を担当できる」と考えず、営業所ごとの選任計画を作成してください。
必要なのは「基礎講習修了」だけではない
新規許可の運行管理者として選任するには、通常、貨物の運行管理者資格者証を取得していることを確認します。
基礎講習を修了しただけの人は、一定の条件のもとで運行管理補助者になれる場合がありますが、それだけで運行管理者として選任できるわけではありません。
採用候補者を決める際には、次の点を確認しましょう。
・貨物の運行管理者資格者証を取得しているか
・資格者証の氏名などが現在の情報と一致しているか
・申請する営業所で勤務できるか
・他社や他営業所で運行管理者として選任されていないか
・運輸開始前までに雇用・就任できるか
・点呼を含む運行管理業務を実際に遂行できる勤務体制か
「資格を持っている知人に名前だけ借りる」という対応は認められません。形式的な選任ではなく、営業所で実際に業務を行える体制が必要です。
運行管理者自身が運転者を兼ねる計画は慎重に
小規模事業者では、運行管理者が運転者を兼ねる計画が検討されることがあります。しかし、運行管理者が運転業務に出ている時間帯に点呼や緊急対応を誰が担うのかという問題が生じます。
兼務の可否を肩書だけで判断せず、運行時間、点呼時間、補助者の配置、休日や欠勤時の代務体制まで確認しなければなりません。
特に、早朝・深夜の運行がある場合や、運行管理者自身が長距離運行に出る場合は、適切な点呼体制を維持できないおそれがあります。具体的な勤務計画を作成し、必要に応じて管轄運輸支局へ事前に確認してください。
申請から運輸開始までの準備手順
運行管理者の確保は、次の順序で進めると整理しやすくなります。
1.営業所ごとの車両数と必要な運行管理者数を確認する
2.有資格者を確保済みか、採用予定かを整理する
3.資格者証の写しなどで資格を確認する
4.指揮命令系統と点呼体制を設計する
5.許可後、運輸開始前確認までに採用・配置を完了する
6.管轄運輸支局等へ運行管理者選任届を提出する
7.運行管理規程、点呼記録簿、事故時の連絡体制などを整備する
許可審査中は数か月かかることがありますが、その期間を「採用は許可後でよい」と放置するのは危険です。候補者の退職、入社時期のずれ、資格者証の未取得などで、許可後に運輸開始できないケースが考えられます。
申請前に確認したい書類と情報
運行管理者の選任計画を作る際は、少なくとも次の資料・情報を準備しておきましょう。
・運行管理者資格者証の写し
・採用済みか採用予定かが分かる資料
・就任予定日
・勤務する営業所
・雇用条件や勤務時間
・運行管理者と補助者の体制
・運行管理に関する指揮命令系統図
・点呼の実施場所と時間帯
・運行管理規程
・緊急時の連絡体制
申請書の様式や添付資料、運輸開始前確認の方法は、地方運輸局・運輸支局によって運用上の違いがあり得ます。申請営業所を管轄する運輸支局の最新案内を確認してください。
よくある失敗
よくあるのは、「申請時は予定者でよい」という情報だけを見て、採用活動を後回しにすることです。
その結果、許可後になっても有資格者が見つからず、選任届や運輸開始前確認を進められないことがあります。また、候補者が基礎講習修了者であっても、運行管理者資格者証を取得していなければ、予定していた役割を担えない場合があります。
他社に在籍している人や別営業所の運行管理者を安易に候補とすること、運行管理者自身の運転予定を詰め込みすぎることにも注意が必要です。
まとめ
一般貨物自動車運送事業の新規許可では、運行管理者を「確保予定」として申請できる取扱いが示されている地域があります。しかし、運輸開始までには、有資格者を実際に確保し、営業所へ配置して、選任届を提出する必要があります。
大切なのは、申請できるかどうかだけではありません。運輸開始後に点呼や安全管理を確実に行える勤務体制まで設計できているかが重要です。
申請時点の取扱い、必要書類、運輸開始前確認の手順には地域差があり得るため、申請先の地方運輸局・運輸支局の最新情報を確認しながら準備を進めましょう。
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