【運送業新規許可ブログ】整備士資格がなくても整備管理者になれる?新規許可前に確認したい2つの資格ルート
一般貨物自動車運送事業の新規許可では、原則として営業所ごとに整備管理者を選任する必要があります。
「整備管理者になるには、自動車整備士の資格が必要」と思われがちですが、整備士資格がなくても、所定の実務経験と研修修了の要件を満たせば選任できる場合があります。
ただし、「長年トラックに乗っている」「車両の状態には詳しい」というだけでは、当然に実務経験として認められるわけではありません。許可申請後に人選を始めると、運輸開始までに資格要件を満たせないおそれがあります。
今回は、一般貨物自動車運送事業の新規許可を検討している方に向けて、整備管理者の資格要件と準備のポイントを解説します。
整備管理者が必要になる営業所
国土交通省は、トラックについて、5台以上を使用する営業所ごとに整備管理者を選任する仕組みを示しています。
一般貨物自動車運送事業の新規許可は、原則として営業所ごとに5台以上の事業用自動車を配置して始めるため、通常は整備管理者の選任が必要になります。
一方、一般廃棄物運送、霊きゅう運送、島しょ地域など、一部の例外的な事業形態では取扱いが異なる場合があります。自社が例外に該当するかどうかは、営業所を管轄する運輸支局へ確認してください。
整備管理者になるための2つの資格ルート
整備管理者の資格要件には、大きく分けて次の2つのルートがあります。
1.自動車整備士技能検定に合格している
1級、2級または3級の自動車整備士資格を有する方は、整備管理者の資格要件を満たすルートがあります。
実際に選任届を提出する際は、整備士資格を証明する書類の写しなどが求められます。資格を持っているという本人の申告だけで進めず、合格証書等を確認しておきましょう。
2.2年以上の実務経験があり、選任前研修を修了している
自動車整備士資格がない方でも、次の両方を満たせば整備管理者に選任できる場合があります。
・整備管理を行う自動車と同種類の自動車について、点検・整備または整備管理に関する2年以上の実務経験がある
・地方運輸局長が行う整備管理者選任前研修を修了している
ここで重要なのは、「実務経験」と「研修修了」の両方が必要なことです。選任前研修を受講しただけで、直ちに整備管理者になれるわけではありません。
2年の実務経験に何が含まれるのか
実務経験として想定されているのは、整備工場等で整備要員として点検・整備を行った経験や、運送事業者で整備実施担当者として点検・整備を行った経験などです。
また、整備管理者やその補助者として車両管理業務を行った経験が認められる場合もあります。
一方、単に運転者としてトラックを運転していた期間や、日常点検を行っていたという事実だけで、必ず2年以上の実務経験として認められるとは限りません。
勤務先でどのような業務を、いつからいつまで担当したのかを整理し、実務経験証明書を作成できる状態にしておくことが大切です。具体的な証明方法や必要な添付書類は地方運輸局・運輸支局により案内が異なることがあるため、事前に確認してください。
選任前研修と実務経験はどちらが先でもよい
整備管理者選任前研修と2年以上の実務経験については、一般に、選任される時点で両方の要件を満たしていればよく、研修受講と実務経験の順序は問われません。
ただし、研修の日程や申込方法は運輸局・運輸支局によって異なり、定員や受付期間が設けられることがあります。
「許可後に受講すればよい」と考えていると、予定していた研修に申し込めず、運輸開始の準備が遅れる可能性があります。新規許可を計画した段階で、管轄運輸局の研修日程を確認しておきましょう。
申請時点で未確保でも許可されるのか
関東運輸局の公表Q&Aでは、運行管理者と整備管理者が申請日時点で未確保であっても、確保の予定があれば許可となり得る一方、運輸開始までには必ず確保する必要があると案内されています。
これは、申請日に名前が決まっていなくても準備を先送りしてよい、という意味ではありません。
整備管理者候補者について、次の事項を申請前から確認しておくことが重要です。
・整備士資格の種類と証明書類
・実務経験ルートの場合は、経験年数と業務内容
・選任前研修の修了状況
・営業所において適切に職務を行える勤務体制
・運行管理者や運転者との兼任がある場合、その職務を確実に遂行できるか
関東以外の地域では、申請書への記載方法や確認資料の取扱いが異なる可能性があります。営業所予定地を管轄する運輸支局へ確認してください。
許可後は選任届の提出が必要
整備管理者を実際に選任したときは、選任日から15日以内に地方運輸局長への届出が必要です。
新規許可では、許可書を受け取った後、車両登録、社会保険関係の手続き、運行管理者・整備管理者の選任届などを進め、運輸開始に備えます。
届出時には、選任・変更・廃止届出書のほか、資格要件を証する書類が必要になります。実務経験ルートの場合は、選任前研修修了証明書だけでなく、実務経験を証明する書類も確認しておきましょう。
必要部数、添付書類、提出先となる部門は地域の案内に従ってください。
候補者選びで起きやすい失敗
新規許可の準備では、次のような失敗が起こりがちです。
・選任前研修を受ければ、それだけで資格要件を満たすと思っていた
・運転者としての経験年数を、そのまま整備管理の実務経験として扱えると思っていた
・前職の実務経験証明を依頼できず、経験を証明できなかった
・研修の受付期間を逃し、運輸開始準備が遅れた
・資格証明書の氏名が旧姓のままで、追加確認が必要になった
・整備管理者候補者の退職や異動により、選任予定者がいなくなった
許可申請では車両、営業所、車庫、資金だけでなく、「資格要件を証明できる人」を確保する視点が欠かせません。
まとめ
一般貨物自動車運送事業の整備管理者は、自動車整備士資格を持つ方だけに限られません。整備士資格がなくても、同種類の自動車に関する2年以上の実務経験があり、整備管理者選任前研修を修了していれば、資格要件を満たせる場合があります。
ただし、研修修了だけでは足りず、実務経験の内容と期間を証明できることが重要です。申請時点で未確保でも許可となり得る地域の取扱いはありますが、運輸開始までには選任が必要です。
候補者の資格と証明資料、研修日程、届出時期を申請前から確認し、許可後の運輸開始が遅れないように準備しましょう。
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