【運送業実務ブログ】営業所と車庫の距離は「10km以内」と決めつけない
一般貨物自動車運送事業の新規許可では、営業所と自動車車庫は原則として併設することが求められます。併設できない場合に認められる距離について、「関東なら10km」「都市部なら10km」といった古い情報をそのまま使うのは危険です。現在の公示では、運輸局ごとに基準が異なるうえ、改正前の案内ページが検索結果に残っている場合もあります。
どんな方に関係するか
- 営業所と車庫を別々に借りて新規許可を申請する方
- 車庫候補地が営業所から数km離れている方
- 以前聞いた「5km・10km・20km」という基準を前提に物件を探している方
- 遠隔点呼の導入を含めて施設配置を検討している方
許可要件・必要な準備
全国共通の基本的な考え方は、車庫を原則として営業所に併設することです。併設できない場合の許容距離や例外は、営業所予定地を管轄する地方運輸局の最新公示で確認します。
2026年9月30日時点で確認できる最新公示の例では、関東・近畿・四国運輸局の許可基準に、遠隔点呼が行われる車庫を除き、営業所から直線2kmの範囲内という取扱いが示されています。一方、中国運輸局の2026年公示では直線5km以内とされています。つまり、全国一律の距離として説明することはできません。
さらに、距離だけ満たしても許可要件をクリアしたことにはなりません。車庫には、全車両を確実に収容できる広さ、車両相互間・境界との間隔、使用権原、他用途部分との区画、関係法令への適合、出入口と前面道路の通行条件などが求められます。
手続きの流れ・時期
- 営業所予定地を管轄する地方運輸局・運輸支局を特定する
- 当該運輸局の最新の許可基準、公示、細部取扱いを確認する
- 営業所と車庫候補地の位置を地図上で特定し、直線距離を測る
- 用途地域、農地該当性、建築物用途、接道、前面道路幅員を調査する
- 配置予定車両の寸法を基に、車庫収容図と出入口の安全性を確認する
- 管轄運輸支局へ事前相談したうえで、停止条件付き契約などを検討する
距離の測定は道路の走行距離ではなく「直線距離」とされる公示が多いため、測定方法を統一してください。境界付近の案件では、地図の概算だけで契約せず、緯度経度や図面を用いて管轄窓口へ確認するのが安全です。
必要書類
申請時には、地域の様式・審査運用に応じて、一般に次の資料を準備します。
- 営業所・車庫の位置を示す案内図、付近見取図
- 営業所と車庫の直線距離が確認できる地図
- 車庫の平面図・求積図・車両配置図
- 土地・建物の登記事項証明書、賃貸借契約書など使用権原資料
- 都市計画法・建築基準法・農地法等に抵触しない旨の宣誓書や確認資料
- 前面道路の幅員証明書または道路管理者の証明・回答
- 私道を通行する場合の承諾書等
必要書類の名称、提出部数、幅員証明の要否や代替資料は地域により異なるため、営業所予定地を管轄する運輸支局へ確認してください。
よくある失敗と注意点
- 古い解説記事だけで判断する:旧基準の5km・10km・20kmが掲載されたページが残っていることがあります。公開日だけでなく、適用日・最終改正日を確認します。
- 直線距離と走行距離を混同する:車での移動距離が短くても、申請図面では公示に沿った測定が必要です。
- 距離だけ確認して契約する:用途地域、農地、前面道路、出入口、車庫面積のどれか一つでも不適合なら使用できません。
- 遠隔点呼なら距離制限が自動的になくなると考える:遠隔点呼には別途、実施場所・機器・運用体制等の要件があります。車庫の施設要件が免除されるわけではありません。
- 運輸局が違う事例を流用する:行政書士の過去案件でも、別運輸局の基準をそのまま当てはめることはできません。
まとめ
営業所と車庫の距離は「全国一律10km」ではありません。最新公示では、関東・近畿・四国の2km、中国の5kmなど地域差が確認できます。しかも、遠隔点呼を行う車庫の取扱いや、基準により難い地域の例外が設けられる場合もあります。物件契約前に、営業所予定地を管轄する運輸局の現行公示と運輸支局の取扱いを確認することが、開業遅延と契約損失を防ぐ最も重要な手順です。