【巡回指導ブログ】巡回指導の適性診断対策|初任・適齢・事故惹起運転者の対象と管理
適性診断は、運転者の性格を評価して合否を付ける試験ではありません。運転の特性を把握し、事故防止のための助言・指導へ活用する制度です。一般診断は任意ですが、初任運転者、65歳以上の高齢運転者、一定の事故を起こした運転者には、法令上必要な適性診断があります。巡回指導では、対象者を正しく抽出し、受診結果を指導へ反映しているかが重要です。
初任診断の対象
新たに雇い入れた運転者が初任運転者に該当する場合、国土交通大臣の認定を受けた機関で初任診断を受けさせます。「大型免許を長年持っている」「他社でトラックに乗っていた」だけで自動的に対象外とは判断できません。過去の事業用自動車の乗務歴や、直近の乗務状況を証明資料とともに確認します。
採用時のヒアリングだけでなく、前職の在籍・乗務歴、退職日、適性診断受診歴を確認し、判断根拠を保存しましょう。
65歳以上は適齢診断の管理が必要
65歳以上の運転者には適齢診断を受けさせ、その結果を踏まえ、加齢による身体機能の変化が運転へ及ぼす影響を理解させる指導を行います。65歳になった時点だけ確認するのではなく、その後も所定の時期に受診が必要となるため、生年月日から次回受診予定を管理します。
健康診断と適性診断は目的が異なります。健康診断を受けているから適齢診断は不要、という扱いにはできません。
事故惹起運転者は事故内容から対象を判定
死亡・重傷事故や、一定の軽傷事故を起こした運転者は、事故惹起運転者として特定診断等の対象となる場合があります。事故の大小を社内の損害額だけで判断せず、負傷の程度、事故歴、第一当事者性など、指針の要件と照合します。
対象となる場合は、原則として再び事業用自動車に乗務する前に必要な診断・指導を行う運用が重要です。事故記録を作成した時点で、適性診断と特別指導の要否を同時に確認する仕組みにしましょう。
診断を受けさせるだけでは不十分
適性診断の結果は、運転者本人へ渡して終わりではありません。運行管理者等が内容を確認し、運転者の特性に応じた助言・指導を行い、その実施記録を残します。
- 速度の出し方や車間距離の傾向
- 注意の配分、判断の特徴
- 焦りや感情が運転へ及ぼす影響
- 身体機能の変化に応じた運転方法
- 事故原因と再発防止策
診断結果は個人情報であるため、閲覧者を必要な担当者に限定し、指導目的以外へ使用しない管理も必要です。
運転者台帳と記録を一致させる
特定の運転者に対する適性診断の受診状況は、運転者台帳にも記載します。診断票、指導記録、運転者台帳で、対象者、診断種類、受診日、指導日が一致しているか確認してください。
営業所ごとに「氏名・生年月日・雇入れ日・選任日・事故歴・対象区分・受診期限・受診日・指導日」を一覧化すると、更新漏れを防ぎやすくなります。
巡回指導前のチェックリスト
- 全運転者の生年月日と採用・選任履歴を確認したか
- 初任運転者の過去の乗務歴を確認できるか
- 65歳以上の運転者と次回受診時期を把握しているか
- 事故記録から事故惹起運転者の該当性を判定したか
- 国土交通大臣の認定機関で必要な診断を受けたか
- 診断結果を踏まえた個別指導を行い、記録したか
- 運転者台帳と診断・指導記録が一致しているか
一般診断も安全管理に活用できる
義務診断の対象外でも、一般診断を定期的に活用することで、運転特性の変化を本人に理解させ、安全指導へつなげることができます。ただし、任意の一般診断を受けたことだけで、義務となる初任・適齢・特定診断等を代替できるとは限りません。診断の種類を正しく選択してください。
まとめ
適性診断対策では、初任・65歳以上・事故惹起運転者を正しく抽出し、必要な時期に適切な種類の診断を受けさせることが出発点です。さらに、結果に基づく指導、運転者台帳への記載、次回時期の管理まで行って初めて、安全管理の仕組みとして機能します。対象や期限の判断に迷う場合は、認定診断機関または管轄の適正化事業実施機関へ確認してください。
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本日の専門家紹介:近藤剛先生(神奈川県)
近藤剛先生は、神奈川県小田原市の「ほたる社会保険労務士事務所」を運営しています。公式紹介ページでは、社会保険労務士として労務相談、労務管理、就業規則の作成を専門業務としています。運送事業では許認可に加え、労働時間・健康管理・社会保険などの労務管理も重要であり、専門家連携の心強い存在です。
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