【巡回指導ブログ】巡回指導の健康診断対策|「受診済み」だけでは足りない再検査と就業措置
運送会社の健康管理では、運転者に定期健康診断を受けさせるだけで終わりではありません。診断結果に「要再検査」「要精密検査」「要治療」などの所見がある場合、医療機関の受診状況や医師の意見を確認し、安全に乗務できるかを判断する必要があります。巡回指導に備えるには、健診結果、受診勧奨、再検査結果、就業上の措置までを一連の記録として管理することが重要です。
まず受診漏れをなくす
事業者は法令に基づく健康診断を対象者へ実施し、結果を保存します。採用時、定期、深夜業など、働き方によって必要な健診を確認してください。受診予定表を作り、対象者、受診日、結果受領日を一覧化すると、予約漏れや結果未回収を防げます。
乗務員の名簿、運転者台帳、勤怠資料と健診対象者一覧を照合し、在籍して運転業務に就く人が抜けていないか確認します。
有所見者は医師の診断・治療結果まで確認
国土交通省は、要再検査、要精密検査、要治療の所見がある場合に、運転者へ医師の診断または治療を受けさせ、その結果と乗務に関する医師の意見を把握するよう示しています。
本人へ「病院へ行ってください」と伝えただけでは、実際に受診したか、安全運転に支障がないかを確認できません。受診勧奨日、受診期限、医療機関の受診日、医師の意見、次回確認日を記録し、未受診者には再度働きかけます。
医師の意見を踏まえて就業上の措置を決める
精密検査や治療の結果、安全な運転に支障が生じる可能性がある場合は、医師の意見を踏まえて就業上の措置を検討します。
- 乗務を継続できるか
- 長距離・夜間運転を減らす必要があるか
- 勤務時間や業務負担を軽減するか
- 一時的に運転以外の業務へ転換するか
- 治療・再検査後に乗務可否を再判定するか
病名だけで一律に乗務から外すのではなく、症状、治療状況、運転業務の内容について医師の意見を得て、適切な措置を決めます。措置後も健康状態を継続的に把握し、必要に応じて見直します。
点呼時の健康確認へ反映する
定期健康診断の結果が問題なかったとしても、毎日の体調は変化します。業務前点呼では、疾病、疲労、睡眠不足、服薬などを確認し、安全に乗務できる状態かを判断します。健康管理担当者が把握している注意事項のうち、運行管理者が乗務判断に必要な情報を、個人情報へ配慮しながら共有する仕組みが必要です。
運転者から異常の申告があった場合や、顔色・応答に異常がある場合の連絡先、乗務中止の判断者、代替運転者の手配方法をあらかじめ決めておきます。
巡回指導前にそろえる記録
- 対象者全員の健康診断結果と受診日一覧
- 有所見者への受診勧奨記録
- 再検査・精密検査・治療の受診確認
- 乗務に関する医師の意見
- 就業上の措置を決定した記録
- 措置後の経過確認と見直し記録
- 運転者台帳の健康状態欄との整合
- 点呼記録や長時間労働者への対応記録
医療情報は機微性の高い個人情報です。必要以上の情報を共有せず、保管場所、閲覧権限、保存・廃棄方法を定めます。一方で、個人情報を理由に運行管理者へ必要な情報がまったく伝わらない状態も避けなければなりません。
よくある指摘につながる状態
- 健診を受けていない運転者がいる
- 健診結果を本人へ渡しただけで会社が内容を把握していない
- 要再検査なのに受診確認がない
- 医師の意見を得ず、管理者の感覚だけで乗務を継続させている
- 健診結果と運転者台帳の健康状態が更新されていない
- 点呼で体調不良を記録した後の対応が残っていない
実務で使える管理手順
- 年間受診計画と対象者一覧を作る
- 結果を回収し、所見の有無を確認する
- 有所見者へ期限を定めて受診を勧奨する
- 医師から乗務に関する意見を得る
- 就業上の措置を決定し、本人と関係担当者へ伝える
- 運転者台帳や点呼時の注意事項を更新する
- 一定期間後に治療・健康状態と措置を再確認する
まとめ
巡回指導における健康管理は、健康診断の受診証明を見せれば終わるものではありません。有所見者の再検査、医師の意見、乗務可否や業務軽減などの就業上の措置、継続確認まで管理することが、健康起因事故の防止につながります。労働安全衛生関係の取扱いは、必要に応じて産業医や社会保険労務士等とも連携してください。
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本日の専門家紹介:渡邊義人先生(埼玉県)
渡邊義人先生は、埼玉県朝霞市の行政書士渡邊義人事務所を運営する、運送業出身の行政書士です。一般貨物自動車運送事業の新規許可、営業所・車庫の変更、事業計画変更、各種届出などを総合的に支援しています。運輸支局との事前相談やスケジュール管理を含め、許可取得後の安定した事業運営まで見据えて対応する専門家です。
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