【巡回指導ブログ】巡回指導に備える睡眠時無呼吸症候群(SAS)対策|検査から治療継続まで
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりすることで、睡眠の質を低下させる病気です。日中の眠気や集中力低下につながることがあり、プロドライバーの健康管理と事故防止の重要な課題です。
巡回指導や安全管理の確認に備えるうえでも、健康診断を受けさせるだけでなく、SASの兆候を把握し、検査、受診、治療継続、乗務判断まで社内の流れを作ることが大切です。
健康診断だけではSASを見つけにくい
一般の定期健康診断だけで、睡眠中の呼吸状態を十分に把握できるとは限りません。また、本人が日中の強い眠気を自覚していなくても、睡眠中に呼吸障害が生じている場合があります。
国土交通省はSASスクリーニング検査を推奨検査として案内し、検査から精密検査、治療へつなぐための事業者向けマニュアルを公表しています。スクリーニングを一律の法定健康診断と混同せず、事故防止のための健康管理策として計画的に取り入れましょう。
SASを疑うきっかけ
- 家族や同僚から大きないびき、呼吸停止を指摘された
- 十分寝たはずなのに疲労感が残る
- 起床時に頭痛や口の渇きがある
- 日中に強い眠気、集中力低下がある
- 肥満、高血圧、糖尿病などのリスクがある
- 居眠り運転や漫然運転につながる兆候があった
ただし、外見や自己申告だけで判断することはできません。会社が病名を決めつけるのではなく、必要に応じて検査や医療機関の受診へつなげます。
事業者が整える5段階の対応
1.全運転者への教育
SASの症状、事故リスク、検査の目的を説明します。「申告すると乗務から外される」と不安にさせないよう、早期発見と治療によって安全な乗務継続を目指す制度であることを伝えます。
2.対象者の把握とスクリーニング
問診だけに頼らず、社内方針に基づいて検査機会を設けます。地域のトラック協会では助成制度が設けられる場合があるため、対象年度の条件を確認してください。
3.精密検査への接続
スクリーニング結果により精密検査を勧められた場合は、受診状況を確認します。結果は要配慮個人情報として、取扱担当者と保管方法を限定します。
4.医師の意見に基づく乗務判断
会社が独自に乗務可否を決めるのではなく、医師の診断・意見を踏まえ、必要に応じて乗務時間の短縮、夜間乗務の削減、業務転換などを検討します。差別的な取扱いを避け、症状と運転への影響を個別に判断します。
5.治療継続の確認
治療機器の使用など、治療が継続されているかを、本人の同意と医師の指導を踏まえて確認します。治療開始をゴールにせず、定期受診や症状改善後の乗務上の意見まで追跡します。
巡回指導前に確認したい記録
- 健康管理規程またはSAS対応の社内手順
- 運転者への健康・睡眠教育の実施記録
- スクリーニング検査の対象者・受診状況を管理する台帳
- 再検査・精密検査が必要な人への案内記録
- 医師の意見を踏まえた就業上の措置と見直し記録
- 点呼で睡眠不足や体調を確認した記録
診断名や検査数値を点呼簿へ詳しく記載する必要はありません。点呼担当者が安全運転の可否を判断するために必要な情報と、医療情報の保護を両立させてください。
事故が起きてからでは遅い
SASが疑われる居眠り運転・漫然運転を伴う事故では、事故報告の対象となる場合があります。兆候の申告、点呼時の確認、検査結果、医師の意見、治療状況をばらばらに管理せず、運行管理者、労務担当者、経営者が連携する仕組みが重要です。
まとめ
SAS対策は、眠気の自己申告だけで終わらせず、教育、スクリーニング、精密検査、医師の意見、治療継続を一つの流れとして管理することが重要です。法定健康診断や点呼記録とも連携させ、運転者が安心して申告・治療できる職場環境を整えましょう。
巡回指導前に健康管理体制を確認したい方へ
SAS対策を含む健康管理の記録、点呼、運転者台帳、指導監督記録に漏れがないか確認したい場合は、運送業専門のIcan行政書士事務所/運送業許可・更新サポートセンターへご相談ください。
巡回指導への備えに役立つ帳票セット・
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代表・矢内 TEL:070-1389-0777
本日の専門家紹介
伊藤康浩先生(愛知県・伊藤経営労務事務所)
伊藤康浩先生は、拘束時間、休息期間、荷待ち時間、改善基準告示、賃金体系など、運行実態と労務制度を結び付けた運送業の労務管理を専門とする社会保険労務士です。助成金申請、就業規則、労務相談、人事評価制度にも対応しています。
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