【巡回指導ブログ】巡回指導で見落としやすい荷待ち・荷役記録|運転日報に何を残すべきか
巡回指導では、いわゆる運転日報が作成されているかだけでなく、実際の運行を確認できる法定事項が記録されているかが重要です。特に見落とされやすいのが、荷主都合の荷待ち時間と、積込み・取卸し・荷造り・仕分けなどの荷役作業に関する記録です。
到着時刻だけを書き、待機や荷役の開始・終了時刻が空欄になっていると、拘束時間の把握や適正な運賃交渉にも活用できません。対象車両と記録項目を整理しましょう。
運転日報は法令上の「業務の記録」
会社で「運転日報」「乗務記録」「日常運行記録」などの名称を使用していても、重要なのは貨物自動車運送事業輸送安全規則が求める事項を記録することです。
基本的な記録事項には、運転者等の氏名、車両を識別する番号、業務の開始・終了地点と日時、主な経過地点、業務に従事した距離、休憩・睡眠の地点と日時、事故や著しい遅延などの異常内容が含まれます。
荷待ち時間の記録が必要となる場面
車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上の事業用トラックで、荷主の都合により集貨・配達地点等で30分以上待機した場合は、荷待ちに関する事項を記録する必要があります。
主な記録事項は次のとおりです。
- 集貨・配達を行った地点
- 荷主から指定された到着時刻がある場合はその時刻
- 実際の到着時刻と出発時刻
- 積込み・取卸しの開始時刻と終了時刻
- 荷造り、仕分けなどの附帯業務の開始・終了時刻と内容
単に「待機30分」とだけ書くのではなく、どの地点で、いつ到着し、何時に作業を始め、いつ出発したかを追える記録にします。
荷役作業等の記録で押さえる事項
対象となる荷役作業等を行った場合は、集貨地点等、作業の開始・終了時刻、作業内容などを記録します。また、記録事項について荷主の確認が得られたときはその旨、確認が得られなかったときもその旨を残します。
「積込み」「取卸し」だけでなく、荷造り、仕分け、検品など、運転以外に行った作業を具体的に記載することが大切です。契約内容や作業時間によって取扱いが異なるため、自社の運送契約と実態を照合してください。
デジタコだけでは記録が完結しない
デジタルタコグラフには、運行時間、速度、距離などが記録されますが、荷主名、荷役作業の内容、荷主確認の有無、異常の原因などは自動では残らないことがあります。
デジタコを利用している会社も、法定事項のうち機器で記録されない項目を、運転者ごとに付記できる仕組みが必要です。「デジタコがあるから紙の日報は不要」と一律に判断せず、システムで不足なく記録・保存できるかを確認しましょう。
巡回指導前に行いたい突合確認
荷待ち・荷役記録は、日報単独ではなく、次の資料と照らし合わせると漏れを発見しやすくなります。
- 点呼記録の出庫・帰庫時刻
- デジタコやGPSの運行データ
- 出勤簿・タイムカード
- 配車表・運行予定表
- 納品書・受領書
- 高速道路の利用記録
例えば、GPS上では荷主先に2時間滞在しているのに、日報に荷待ちも荷役も記録されていない場合は、実態を確認する必要があります。時刻の不一致を単に書き換えるのではなく、なぜ差が生じたのかを調べ、以後の記録方法を改善します。
記録を労務管理と運賃交渉に活用する
正確な荷待ち・荷役記録は、巡回指導のためだけの書類ではありません。運転者の拘束時間や休憩時間を正しく把握し、長時間労働を防ぐための基礎資料になります。
また、荷主都合の待機や契約外の附帯作業が常態化している場合、記録を集計することで、運行計画の見直しや料金・契約条件の協議に必要な客観資料として活用できます。
実務チェックリスト
- 対象車両を車両総重量・最大積載量で整理しているか
- 30分以上の荷主都合の待機を記録するルールがあるか
- 到着・作業開始・作業終了・出発の各時刻を記録できるか
- 荷役・附帯作業の内容を具体的に記載しているか
- 荷主確認の有無を残しているか
- デジタコで記録されない事項を付記しているか
- 点呼簿、勤怠、配車表との時刻が整合しているか
- 記録を営業所で確認し、漏れを運転者へフィードバックしているか
まとめ
巡回指導に備えるには、運転日報を毎日提出させるだけでなく、荷待ちと荷役作業を含む実態が記録されているかを確認する必要があります。対象車両を整理し、運転者が迷わない記載ルールを作り、デジタコ・点呼記録・勤怠との突合を定期的に行いましょう。
正確な業務記録は、法令遵守、過労防止、荷主との取引適正化を同時に支える重要な資料です。
巡回指導対応のご相談
巡回指導を控えていて、運転日報の記載漏れや他の帳票との不一致が心配な場合は、専門家による事前確認をご活用ください。現在の帳票を実際の運行と照合し、記録方法や社内ルールの改善まで支援します。
巡回指導への備えに役立つ帳票セット・対応サービスのご案内はこちら:https://vmymw.
Ican行政書士事務所/運送業許可・更新サポートセンター
ホームページ:https://ican-office.
代表・矢内 TEL:070-1389-0777
本日の専門家紹介
荒川 崇(栃木県)
荒川崇行政書士は、栃木県日光市の「行政書士あんしん法務事務所」に所属し、全国対応で相談を受けています。運送分野では、許可更新、事業報告、法令遵守、Gマーク、改善基準告示に関する労務管理などを通じ、運送事業者の持続的な成長を支援しています。「現場に一番近い行政書士」を目指して活動する専門家です。
運送業許可・更新サポートセンター 全国メンバー
各氏名から、公式ホームページに掲載された本人の紹介ページをご覧いただけます。
東京都
埼玉県
神奈川県
千葉県
栃木県
愛知県
静岡県
大阪府
京都府
香川県
愛媛県
運送業許可・更新サポートセンター:https://unso.