運送業の営業所が「市街化調整区域」に建てられない理由と対策!
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運送業の営業所が「市街化調整区域」に建てられない理由と対策!
運送業を開業するためには、営業所の設置が必要ですが、そのための土地選びには慎重な検討が求められます。特に「市街化調整区域」においては、営業所の設置が厳しく制限されており、許可を取得するには特定の条件を満たす必要があります。
本記事では、市街化調整区域の概要、運送業の営業所を設置できない理由、そして例外的に設置できる場合について詳しく解説します。
市街化調整区域とは?
市街化調整区域とは、都市計画法に基づいて定められた区域で、無秩序な市街地の拡大を防ぎ、農地や自然環境の保全を目的としています。そのため、基本的に建築物の新設が制限されており、商業施設や運送業の営業所を建てることは原則認められていません。
市街化調整区域では以下のような建築制限があります。
- 原則として新たな建物の建設は認められない
- 一部の公共事業や公益性の高い施設のみ建設可能
- 既存の建築物の用途変更も厳しく制限される
なぜ市街化調整区域に営業所を建てられないのか
運送業の営業所が市街化調整区域に設置できない理由は、主に以下の3つです。
1. 都市計画法による規制
市街化調整区域は「市街化を抑制すべき区域」とされているため、基本的に新たな建築物の建設は認められません。運送業の営業所は商業施設に該当するため、規制対象となります。
2. 交通インフラとの調和
市街化調整区域は、もともと住宅地や商業地としての発展を想定していないため、道路の整備状況が不十分なことが多いです。大型トラックが頻繁に出入りする営業所が設置されると、交通渋滞や安全性の問題が発生する可能性があります。
3. 住環境・自然環境の保護
市街化調整区域は、農地や森林などの自然環境を保護するために指定されています。運送業の営業所は、大型車両の出入りが多く、騒音や排気ガスによる環境への影響が懸念されるため、許可されにくいのです。
市街化調整区域でも営業所を設置できる例外
市街化調整区域においても、特定の条件を満たせば営業所の設置が可能になる場合があります。以下に代表的な2つのケースを紹介します。
1. 既存宅地として認定されている土地
市街化調整区域の中でも、指定以前から宅地として利用されていた土地は「既存宅地」として認定される場合があります。既存宅地であれば、一定の条件を満たすことで営業所の設置が認められることがあります。
【主な条件】
- 指定前から宅地として利用されていたこと
- 市街化区域に隣接していること
- 50戸以上の住宅が存在する地域であること
ただし、2001年に既存宅地制度が廃止されており、新たに認定を受けることはできません。過去に既存宅地として認定されていることが確認できれば、営業所の設置が可能です。
2. トレーラーハウスを活用する
市街化調整区域では原則として建築物の建設が制限されていますが、トレーラーハウスを営業所として使用することで、一定の条件下で許可を得ることができる場合があります。
【ポイント】
- トレーラーハウスは「車両」として登録されるため、建築物に該当しない
- 車検を受け、ナンバープレートを取得する必要がある
- 地方自治体の条例に従う必要がある
ただし、自治体によってはトレーラーハウスの設置に関する独自の規制があるため、事前に確認が必要です。
プレハブの設置は可能か?
プレハブ建物も一見、簡易的な構造に見えますが、都市計画法上「建築物」とみなされるため、市街化調整区域では設置が認められません。
【プレハブを設置できるケース】
- 既存宅地として認められている土地
- 特別な用途で自治体の許可を得られる場合
一方で、市街化区域や無指定区域では比較的容易に設置が可能です。ただし、床面積が一定以上の場合は建築確認申請が必要になるため注意しましょう。
まとめ
市街化調整区域は、都市の無秩序な拡大を防ぐための重要な区域であり、新たな営業所の設置は原則として認められていません。しかし、既存宅地やトレーラーハウスの活用など、一定の条件を満たすことで営業所を設置できる場合もあります。
営業所を設置する際には、事前に専門家や自治体に相談し、適切な手続きを進めることが重要です。運送業の営業所設置に関するご相談は、Ican行政書士事務所へお気軽にお問い合わせください。