一般貨物運送業許可取得のための基本要件
一般貨物運送業許可取得のための基本要件
一般貨物運送事業とは
一般貨物運送事業とは、事業用トラックを使用し、他人の荷物を運送し、その対価として運賃を受け取る事業のことを指します。この事業を行うには、国土交通省の許可を取得し、事業用ナンバー(緑ナンバー)を取得する必要があります。
運送事業には以下の三つの種類があります。
- 一般貨物自動車運送事業:不特定多数の荷主から依頼を受け、貨物を運ぶ事業(緑ナンバー)
- 特定貨物自動車運送事業:特定の荷主一社のみに対して貨物輸送を行う事業(緑ナンバー)
- 貨物軽自動車運送事業:軽貨物自動車(黒ナンバー)や二輪車で貨物を輸送する事業
一般的に「運送業」と言われるのは、主に一般貨物自動車運送事業を指します。
また、ナンバープレートの色で事業形態を見分けることができます。
- 緑ナンバー:事業用トラック(営業用)
- 白ナンバー:自家用トラック(自家使用)
- 黒ナンバー:貨物軽自動車運送事業用
一般貨物運送事業許可を取得するための要件
一般貨物運送事業の許可を取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。
1. 人的要件
法令試験の合格
- 申請者(法人の場合は常勤役員の1名)は、貨物自動車運送事業に関する法令試験に合格する必要があります。
- 試験は奇数月に実施され、合格率は約60%。
- 2回以内に合格しないと申請は却下されます。
欠格要件の非該当
- 1年以上の懲役・禁錮刑を受け、その執行を終えて5年を経過していない者は申請不可。
- 過去5年以内に一般貨物自動車運送事業の許可取消を受けた者も申請不可。
必要な資格者の配置
- 運行管理者:営業所ごとに車両29台までは1名、30台ごとに1名追加。
- 整備管理者:車両の種類に応じた点検・整備の経験者、または整備士資格者。
- 運転者の確保:最低5名以上の運転者を確保し、適切な免許を取得していること。
2. 物的要件
営業所の確保
- 建築基準法や都市計画法に適合している建物であること。
- 借入の場合、2年以上の使用権限を有すること。
休憩・睡眠施設の設置
- 睡眠施設を設ける場合、1人あたり2.5㎡以上の広さが必要。
車庫の確保
- 全車両が収容可能なスペースを確保。
- 営業所に併設するのが原則だが、やむを得ない場合は一定の距離内(例:東京都特別区内は20km以内)に設置。
- 車庫の出入り口が交差点や横断歩道から5m以上離れていること。
車両の確保
- 貨物自動車(軽自動車を除く)を5台以上確保。
- 申請時には購入予定でも可。ただし、使用権限を証明する必要あり。
3. 財産的要件
事業開始に必要な資金の確保
- 人件費・燃料費・保険料・車両費・賃貸費用など、半年から1年分の資金を確保。
- 目安として1500万円~2500万円。
- 申請時と許可前に銀行の残高証明を提出。
損害賠償能力の確保
- 任意保険加入:対人無制限、対物200万円以上。
- 危険物輸送を行う場合は追加の保険が必要。
4. 許可取得後の手続き
許可取得後に必要な手続き
- 登録免許税の納付:12万円を納付。
- 運行管理者・整備管理者の選任届を提出。
- 運輸開始前届を提出。
- 事業用ナンバー(緑ナンバー)の取得。
- 運輸開始届を提出し、営業開始。
運輸開始後の義務
- 事業概況報告書の提出:毎事業年度終了後100日以内。
- 事業実績報告書の提出:毎年7月10日までに提出。
- 新規許可事業者講習の受講:許可取得後半年以内に受講。
まとめ
一般貨物運送事業の許可を取得するには、多くの要件をクリアする必要があります。特に資金確保や適切な施設の確保が難しく、事前の計画と準備が重要です。
運送業界への参入を考えている方は、要件をしっかりと理解し、スムーズに許可取得ができるよう準備を進めましょう。行政書士などの専門家に相談することも一つの方法です。