【徹底解説】運送業許可の譲渡譲受の手続き
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【徹底解説】運送業許可の譲渡譲受の手続き
運送業許可(一般貨物自動車運送事業)は、営業許可そのものを譲渡・譲受することが可能です。しかし、単に許可を移動させるだけと考えるのは危険であり、複雑な手続きが伴います。本記事では、運送業許可の譲渡譲受に関する手続きや注意点について詳しく解説していきます。
運送業許可の譲渡譲受とは
運送業許可を別の事業者に移転させる方法には、以下の三つがあります。
- 譲渡譲受
- 合併認可
- 分割認可
合併や会社分割は、会社法上の組織再編行為であり、事業の統合・分割が伴うのに対し、譲渡譲受は運送業の許可のみを移転できる点が大きな違いです。特に、債務超過に陥った会社の運送事業を健全な別会社に承継させる目的で利用されることが多くなっています。
譲渡譲受と新規許可の違い
要件の違い
新規許可と譲渡譲受では、満たさなければならない要件に違いはほぼありません。以下の点が求められます。
- 運行管理者や整備管理者の選任
- 運送業担当役員の法令試験の合格
- 営業所、車庫、車両の確保
- 資金要件のクリア
ただし、譲渡譲受の場合、既存の営業所や車庫を引き継げるため、新規許可取得よりも物件確保のハードルが低くなることが多いです。
審査期間の違い
- 新規許可:申請から許可取得まで約5か月
- 譲渡譲受:申請から認可まで約3か月
譲渡譲受の方が短期間で許可を取得できますが、譲渡人との交渉に時間がかかるため、実質的な所要期間はケースによります。
その他の違い
項目 | 新規許可 | 譲渡譲受 |
---|---|---|
登録免許税 | 必要(12万円) | 不要 |
許可番号 | 新規発行 | 引き継ぎ |
行政処分の引継ぎ | なし | あり |
運輸開始届出 | 必要 | 不要 |
譲渡譲受が適しているケース
個人事業の法人成り
個人事業から法人化する際、譲渡譲受を利用すれば、営業所や車庫、車両などをそのまま引き継げるため、手続きがスムーズになります。
事業ごと譲り受けられる場合
- 車両・土地・建物を安価に譲り受けられる
- 従業員(ドライバー・運行管理者)をそのまま確保できる
- 取引先(荷主)を引き継げる
近年、後継者不足のために事業承継を目的とした譲渡譲受が増えています。
譲渡譲受の注意点
対象の特定
許可だけを移転するのか、営業所・車庫・車両を含めるのかを明確にする必要があります。また、行政処分の有無も事前に確認しましょう。
資金計画
譲渡譲受でも事業開始に要する資金が必要です。特に金融機関からの融資を予定している場合は、認可取得前に融資が実行されるかどうかを確認する必要があります。
事業計画の正確な把握
過去に運輸局へ提出した事業計画を精査し、事業者台帳の情報開示請求が必要になる場合もあります。
譲渡譲受の手続き
手続きの流れ
- 譲渡人との交渉
- 営業所・車庫の使用権の確認
- 運行管理者・整備管理者の確保
- 資金の準備
- 必要書類の作成・収集
- 運輸局への譲渡譲受認可申請
- 役員の法令試験受験・合格
- 運輸局による審査
- 認可取得
- 車両登録、運賃届出
- 運輸開始
- 譲渡譲受終了届出
手続きは、新規許可とほぼ同じ流れですが、許可取得までの時間が短縮されるメリットがあります。
まとめ
運送業許可の譲渡譲受は、新規許可取得よりも早く事業を開始できる可能性がありますが、譲渡人との交渉や行政処分の引継ぎなど、慎重な準備が求められます。譲渡譲受を検討している場合は、専門家のアドバイスを受けながら進めることをおすすめします。
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